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56 『人生模様』(1952年) ~クリスマス映画の傑作は?

 Q 知られざる傑作クリスマス映画を教えてください。

 A ほぼ毎年、12月にはクリスマス映画をご紹介してきました。定番中の定番、『素晴らしき哉、人生!』『三十四丁目の奇蹟』『クリスマス・キャロル』、西部劇では『三人の名付け親』、ビタースイートな大人のクリスマスものなら『ノエル』『ラブ・アクチュアリー』『ホリデイ』、渋いところでは、ポール・オースターの『スモーク』など。フランス映画では『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネ監督の『遥かなる国から来た男』などにも触れましたね。

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 知られざる作品と言っても、少しは知られていないとDVDの入手も困難です。最近のヨーロッパ映画なら、レヴィ・ヘンリクセンの短編小説を映画化したノルウェーの小さな町のクリスマス・イブの物語『クリスマスのその夜に』といった佳作もありますが、ここでお勧めの一本は、コラムではまだ取り上げていないはずのハリウッド作品『人生模様』(1952年)。

 原題は「O.Henry's Full House」。フルハウスという題名どおり、短編の名手オー・ヘンリーの小説5編を、5人の名監督による短編映画で構成したオムニバス映画です。各編をつなぐ語り手はノーベル文学賞受賞作家ジョン・スタインベックという豪華さです。

 第1話「警官と讃美歌」には、小さな役ですが、マリリン・モンローも顔を出します。第2話の監督はヘンリー・ハサウェイ。第3話はジーン・ネグレスコ監督の「最後の一葉」。第4話はハワード・ホークス監督。トリとなる第5話は、オー・ヘンリーのクリスマス・ストーリーの決定版「賢者の贈り物」。教科書で読んだという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 ニューヨーク在住の若く貧しい夫婦が互いに最高のクリスマスの贈り物をしようと計画します。妻デラは、夫自慢の懐中時計へ鎖を、夫ジムは妻の長く美しい髪に挿すくしを贈ろうと思います。しかし、2人にお金はありません。そこで、それぞれ自分の最も大切にしているものを手放す覚悟をするのですが...。

 監督はヘンリー・キング。最も愚かな贈り物をする若夫婦、1905年のニューヨークの賢者たちを、ジーン・クレインとファーリー・グレンジャーがみずみずしく演じます。

 映画が教えてくれるように、クリスマスの贈り物はサンタのご褒美ではなく、星の光に導かれ、はるかな旅の果てに幼子イエスのもとへたどりついた三人の賢者に源を発します。すてきなクリスマスをお迎えください。
(清泉女学院大学教授)

(2013年12月7日掲載)

『人生模様』発売・販売/(株)ジュネス企画5040円
 
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