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11 IOC東京総会 ~招致活動の好機会 首相も全面支援表明~

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 1996(平成8)年夏季五輪の開催都市を決める第96次IOC(国際オリンピック委員会)東京総会が90年9月13日から20日まで、8日間にわたって港区の新高輪プリンスホテルで開催されました。日本でのIOC総会は4回目です。

 この総会には、開催都市決定の投票権を持つIOC委員が一堂に集まるのをはじめ、各国のスポーツ団体関係者、オリンピックファミリーなど世界から約3千人が参加したので、長野冬季五輪の招致活動には絶好の機会となりました。関係者による積極的なロビー活動に加え、できるだけ多くのIOC委員に長野を訪問してもらい、競技会場地や準備状況を視察し、市民の皆さんとの触れ合いを楽しんでいただくよう努力しました。

計画の優位性説明
 総会では、第18回冬季五輪立候補都市のプレス・カンファレンス(記者会見)もありました。アオスタ(イタリア)、ハカ(スペイン)、長野、エステルスンド(スウェーデン)、ソルトレークシティー(アメリカ)、ソチ(旧ソ連)の順に、世界の報道関係者にそれぞれの開催計画の優位性などを説明しました。

 長野は保利耕輔文部大臣、加賀美秀夫特命全権大使、古橋広之進JOC会長、吉村午良知事、それに私が説明して質問に答えました。

 IOC理事会でもプレゼンテーションがあり、こちらは海部俊樹総理大臣が出席され、「長野への冬季五輪招致は国民の願いであり、政府も全面的に支援する」と力強く訴えてくれました。吉村知事が県民総意の長野開催の趣旨を述べ、私も開催計画を説明し、成田からの交通アクセスや準備状況などの質問に答えました。

 総会の開会式はNHKホールで行われ、委員がバスで移動する途中、沿道には800人以上の長野関係者が五輪の小旗を振って歓迎。地元招致への熱意を訴えていただき、頭の下がる思いでした。

開催年変更で有利に
 期間中には、IOC、JOC、日本政府主催の夕食会やレセプションが相次いで開かれ、長野関係者も大勢出席し精力的にロビー活動を展開して、委員らと親睦を深めました。ホテル内に設置したホスピタリティールームにも多数の五輪関係者が訪れ、長野のPRに努めました。

 総会では、委員の投票で96年夏季五輪の開催都市がアトランタに決定。オリンピック憲章の改定で、夏季と冬季の五輪を2年ごとに交互に開催することも決まりました。これにより、当初96年の予定だった第18回冬季五輪は98年開催となり、準備期間ができて長野には有利に展開することになりました。

 総会が終わると、ケバ・ムバイ副会長(セネガル)、シン委員(インド)、エルデム委員(トルコ)ら18人の委員の長野訪問がありました。委員が長野に着くたびに市民の皆さんが駅頭に出て歓迎の小旗を振ってくれ、県庁や市役所でも大勢が拍手で出迎えをしました。
(2014年1月25日号掲載)

=写真=記者会見に臨む長野の招致委員会
 
塚田佐さん