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33 大笹街道 須坂から小布施 ~晩年の一茶ゆかりの寺も~

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 二十四節気の大雪が過ぎた12月11日、須坂から小布施にかけて北信濃十三仏霊場の4カ寺を巡拝する。

 長野電鉄の須坂駅で降り、墨坂神社に向かう。まもなく美しい急勾配の大屋根が目に入り、九番札所浄念寺に着く。ここは勢至菩薩が一周忌の霊を導く。朝の精気を受け本堂で般若心経を奉誦し、一日の無事を祈願する。

 前住職の大久保俊弘霊場会長は「この霊場は、千曲川の東ベルト地帯の十三カ寺により平成11(1999)年に設けられた。毎年秋に、全寺合同で総供養法要を行っている」と語った。

 中町の辻を高山村方面へ向かい約2キロ進むと、樹齢350年余の「お庚申さんの松」が立っている。ここから十二番札所蓮生寺への参道に入り、奥にひっそりと大小の諸堂が建ち並ぶ。本堂で、十三回忌の霊を導く大日如来に御真言を読誦する。

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 また、ここは江戸時代から火防の霊場として名高い。秋葉三尺坊大権現を奉安する秋葉宮を、今も日滝秋葉講が管理し、厚い信仰を続けている。三尺坊に不動明王の真言奉誦。

 北信濃くだもの街道(広域農道)に入り、冬枯れのリンゴ、ブドウ畑の中、小布施の七番札所浄光寺を目指す。雪化粧を始めたふるさとのまほろば・北信五岳を賞(め)で、腰の巡礼鈴の澄んだ音を楽しみ、ひたすら足を運ぶ。

 上松川(かみまつかわ)橋を渡り、道案内に従い雁田山に向かう。麓に古刹浄光寺がどっしりと構えている。ここは雁田薬師とも呼ばれ、本尊は室町時代初期作の薬師如来で、没後四十九日の霊を導くとともに、がん封じの功徳がある。

 初冬の境内は霊気が満ち、人影はない。がんと向き合う友と我への加護を本尊に心願して写経を納誦。北斎の大鳳凰図で有名な岩松院は近く、立ち寄って昼餉。

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 都住に向かい、陣屋通りを過ぎると、十一番札所の梅松寺だ。ここは阿しゅく如来が七回忌の霊を導くとともに、一茶ゆかりの寺である。1978(昭和53)年に再建された本堂で、般若心経を奉誦。

 晩年の一茶は、ここを度々訪れ、十九世住職知洞をはじめ、近在の多くの俳友と深い交遊を重ねていた。閑静な境内に「侍に蠅を追わせる御馬哉」の一茶の句碑が建ち、当時をしのばせている。

 師走の夕暮れ、この一年を振り返りながら帰途に就く。1月の雪の皆神山への峯入り以来、不動明王の厚い加護により本稿を魔事(まじ)なく続けられたことに、胸の内は感謝の念で熱い。北信濃は本格的な冬将軍を迎えようとしている。「冬来たりなば春遠からじ」。新春は小布施、中野の北信濃十三仏霊場を巡る。
(2014年1月11日号掲載)

=写真1=火防の霊場としても知られる蓮生寺
=写真2=七番札所・浄光寺

 
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