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57 『セクレタリアト/奇跡のサラブレッド』(2010年) ~馬が登場するお勧め作品

 Q 2014年は午年。お正月に楽しめる美しい馬が登場する映画を教えてください。

 A 馬といって思い浮かぶ日本映画といえば、少女と馬のふれあいを描いた高峰秀子主演の『馬』(1941年)。「めんこい仔馬」という歌が口をついて出るという人もいるかもしれません。撮影時には十代の高峰秀子と助監督・黒沢明との恋もあったという古典的名作ですが、なにしろ太平洋戦争開戦の年の映画。馬は軍馬として戦場に赴くという陸軍省選定作品。残念ながら、DVD発売はありません。

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 同じ戦争のころ、アメリカでは、12歳のエリザベス・テイラーがさっそうと馬を駆る『緑園の天使』(44年)が作られています。こちらはDVDが出ています。少年と馬を扱った映画もありますよ。フランシス・コッポラ製作総指揮の『ワイルド・ブラック/少年の黒い馬』(79年)は、黒馬の美しい姿を見るだけでも価値のある、映像詩とも評される佳作です。

 そして、ここでお勧めの1本は、馬と主婦の物語、『セクレタリアト/奇跡のサラブレッド』(2010年)。70年代に実在した名馬セクレタリアトと馬主ペニーが主人公の実話です。

 周囲の反対を押し切り、亡き母と父の愛した赤字続きの競走馬牧場経営を引き継いだ専業主婦ペニーは、一風変わったフランス系カナダ人調教師ルシアンらの助けを借りて、馬主間の交配契約の駆け引きをものにして、スピードとスタミナを併せ持つ仔(こ)馬を手に入れます。父の代からの忠実な秘書、ハム女史へ敬意を表しセクレタリアト(事務局)と名付けられたその馬は、牧場の命運を賭けたダービーを制し、4半世紀出ていなかった三冠馬への期待が...。

 男社会へ毅然と挑戦する普通の主婦の姿をアカデミー賞女優ダイアン・レインが伸び伸び演じ、エキセントリックな調教師を名優ジョン・マルコヴィッチがコミカルに演じています。

 脇には、大統領候補にもなったフレッド・D・トンプソンやジェームズ・クロムウェルらの男優陣に交じって、ハム女史役にマーゴ・マーティンデイルが登場します。名前は知らなくても、「あっ、この人知っている」と思う人です。そんな名優たちの演技に負けないのが、手に汗握る力走を見せてくれる本物の馬たちです。

 日本劇場未公開、DVD初登場の家族全員で楽しめる、元気の出るディズニー作品です。
 午年の2014年が平和で楽しい年になりますように。
(2014年1月1日号掲載)

=写真=『セクレタリアト/奇跡のサラブレッド』DVD 発売元/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 1500円
 
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