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79 おむつ・おしめ談議(中)

 少子高齢化が社会現象として取りざたされるようになるまで、「おむつ」(おしめ・しめし)と言えば、乳幼児のためのものであった。

 大人用おむつ 乳幼児用を逆転
 厚生労働省によれば、1963年に全国で153人だった百歳以上の人口は、2013年には長野県内の1264人を含め5万4397人に達した。介護関連業界の間では「乳幼児用おむつの生産量は頭打ち。大人用おむつに逆転されたのではないか」という見方も出ているという。

 介護の必要がある人がいる家庭では「そうだろう、人ごとではないですよ」であろうし、関係なく暮らしている場合は「そうなのか、日本も変わったなあ」と驚きもあるだろう。

 『介護隊』という名の「福祉用具総合カタログ」を手に入れた。目次を見ると、次のような大項目が並ぶ。
・食事関連
・入浴関連
・ベッド・医療関連
・歩行関連
・排泄(はいせつ)関連
・住宅改修
・日常生活支援
・看護・介護支援
・健康管理/防災/レンタル/その他

 中身は実に多種多彩だ。細かい字がぎっしり詰まって、A4判300ページに及ぶ大冊だ。

 排泄、ひとの尊厳を守るケア
 プライドの高いさる貴婦人が「わたしがおむつを当てることなど、尊厳が許さない」と語ったというようなことを、何かで読んだことがあるが、いかに切歯扼腕(せっしやくわん)しようとも、何様といえども、そうはいかなくなるのだ。カタログの冒頭には「プライバシーを守る排泄ケアを」「排泄ケアは人の尊厳を守るケア/できるだけ自力で―を促す努力と、不快感を取り除く努力が大切です/排泄は生命維持に大切な生理機能...」とあり、尊厳に意を払っていることが伝わってくる。

大人用おむつ業界は成長産業
 ユニ・チャームでは2012年度に大人用おむつの販売が乳幼児のそれを上回るという。おむつだけでなく、介護関連商品の販売は毎年1割ほど伸びているのだそうだ。大人用のおむつ業界は間違いなく、成長産業だというのである。

 衣料店で聞くと、「布おむつは店に置いてはいるが、売り上げは年々減っている」という話だった。別の店では「布おむつは、もう置いていない」という。

 老人養護施設は施設によってまちまち。「うちは布おむつだけ。いずれは紙になるとは思うが」というところもあれば、別の施設では「布と紙と半々くらい。紙だけにしようかと相談しているところ。布は洗ったり干したり、畳んだり人手がかかりますしね」という次第だ。

 70歳代がほとんどという人たちの集まりで、「おむつ」を話題にすると、話が弾む。口元や目元での笑いが多いのだが、「他人事ではない、明日はわが身」のおびえが漂う。ブルッと身震いもあったりして...。
(2014年1月25日号掲載)
 
美しい晩年