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157 青麻神社 ~中風除けの御利益で人気~

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 「中風封じ、中気除(よ)け」の神社として人気が高いのが横沢町の青麻(あおそ)神社だ。素人にとっては、原因となる血管障害が生じる脳は、神様が司る領域に思える。だからこその神頼みになる。

 恒例の祭日の2月11日、中風除けのお札やお供物を目当てに、たくさんの参拝者が訪れていた。小さな町の氏子を挙げての準備と甘酒やお神酒のもてなしが楽しませてくれた。

 横沢町は、1707(宝永4)年に善光寺の本堂が再建された時に、大工やとび職、左官らが小屋掛け、寝泊まりしてできた町だ。近年まで、町の人たちには建築関係者が目立った。横沢という地名は、背後の山から斜面を流れ下る水流と地形が由縁だろう。

 1坪(約3.3平方メートル)あるかないかの青麻神社の社殿は、1953(昭和28)年の建立だ。神社としては極めて新しく、町の氏神である八幡様の境内に間借りしているのも目を引く。近所に居た神主が個人的に信奉していた神様で、仙台市にある全国総本社の青麻神社から分霊された。この神主が訳あって転居する際、近所に神様を託したので、八幡様と同居することになった次第だ。

 青麻神社の御利益はリハビリ効果も喧(けん)伝されている。「お年寄りが参拝したら、メキメキ回復して仕事ができるようになった」といった話が数多い。

 「そんなに御利益があるなら、足を延ばしてみよう」と思い、最初に訪ねた時は、おいそれとは参拝できなかった。地図を片手に探したのだが、参道の入り口が見つからない。長野西高校の南、住宅街をぐるぐると2,3回巡ってようやく、参道を見つけた。住宅の塀と塀に挟まれた隙間で、自転車で入り込んだらUターンもできない。

 町内挙げて「青麻講」が組織され、市内の講員は最盛期に1200人以上を数えたという。信仰や志を同じくする神社の講の中には、農家や商店が構成員の「戸隠講」など、全国的にも有名なところがあるが、名も知られていない町場のミニ神社の講が広がりを持つのは珍しい。

 青麻神社の北側には、著名な湯福神社があり、その隣は長野西高校の広大なキャンパスだ。校庭からは数々の弥生式土器が発掘されており、信濃古代史の記念地でもある。

 市街を一望できるこの高台一帯は善光寺信仰が畿内からやってくるずっと前から、原始的な神々の聖地であったと思われる。
(2014年2月22日号掲載)

=写真=2月11日、大勢の参拝者でにぎわった青麻神社
 
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