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22 代理としての子ども ~反論に知性の発達喜ぶ 自分のキャンバスに情熱を~ 

 「うちの子は、最近親の言うことを聞かないで口答えばかりする」という悩みをよく耳にします。

親自身が問題
 20世紀の教育学者エルカインドは、『急がされる子どもたち』という著書の中で、子どもを早期教育に駆り立てる親たちは、実は、親自身が問題を抱えている場合があることを指摘しています。

 その問題の一つは、「自分の代理としての子ども」です。人は、中年にさしかかり、人生という絵のキャンバスの半分近くが絵の具で埋まるころになると、若い時にしなかったこと、できなかったことについて、後悔することが少なくありません。もし、できるものなら、キャンバスのこの部分あの部分を塗り替えたいと。

 そんなとき、まだ白いままのキャンバスを抱える自分の子どもが現れると、自分がキャンバスに描けなかった絵を、代わりに子どもに描かせたくなることがあります。

 例えば、英語の学習がうまくいかなかった。わが子にだけは、英語ができるようにさせたい。だから、幼児のうちから英会話教室に通わせる、などです。

 幼児は、「感じる力」は一人前でも、その「感じていること」をことばで十分に表現する力は未熟です。親が自分にさせたがっていることが、自分の望むことと一致していなかったり、親の言うことに何らかの違和感を覚えることがあっても、それに反論する能力は発達していないので、親の指図どおりに「言うことを聞く良い子」でいるほかはない時期が続きます。食べ物の好き嫌いなどは表現できるのですが。

 しかし、言語で自分の感情や考えを表現できる年齢に達すると、子どもの心にマグマのように蓄積していた「お母さんの考え方はおかしい」「これは、僕がやりたいことと違う」という思いが、「反抗」「口答え」としてあふれ出てきます。

 残念ながら、子どものキャンバスは、子ども自身のものです。もし、わが子のためによかれと思っての「親の言うこと」に対して、お子さんが口答えをするようになったら、ちょっと立ち止まって「この子に、親の考えを押し付けてよいのか」と考えてみてください。そして、親の考え方に反論することができるようになった知性の発達を喜び、自分のキャンバスの残りの部分に情熱を向けるのはいかがでしょうか。英語が苦手なお母さま。『たてなおしの英語(コンソーシアム信州)』へようこそ。
(2014年2月22日号掲載)
 
続・たてなおしの教育