皆さんは「血液型」から何を連想しますか。血液型占い、血液型性格診断や血液型遺伝の法則などでしょうか。
病院での血液型検査は、主に病気の治療や手術で輸血が必要な場合に行います。血液型は一般に赤血球の型を意味する場合が多く、赤血球の表面にある抗原(タンパク質)によって決まります。
赤血球の血液型には、「ABO血液型」や「+」、「-」で表現する「Rh血液型」が広く知られていますが、これ以外にも250種類以上もの血液型が存在します。また、ヒトの血液には赤血球のほかに白血球、血小板という細胞が含まれており、これらにも血液型があります。
ABO血液型
では、赤血球の血液型について少し詳しく説明します。
ABO血液型は、1900年にオーストリアの医学者カール・ランドシュタイナーが、自分と他人の血液を混ぜたときに、凝集する(固まる)組み合わせと凝集しない組み合わせがあることを発見したのが始まりといわれています。この発見により輸血の安全性が高まり、医療において輸血が発展しました。ABO血液型はA型、B型、AB型、O型に分けます。日本人の割合は、それぞれ40%、20%、10%、30%となっています。
Rh血液型
Rh血液型は、1940年にABO血液型を発見したランドシュタイナーとその弟子であるウィーナーが、ヒトの赤血球にアカゲザルと共通の血液型抗原があることを発見、これによって分けられる血液型です。その後の研究で、D・C・c・E・e抗原との関連が分かり、これらの組み合わせにより血液型が決定されています。
一般にD抗原を持っている場合をRh(+)、持っていない場合をRh(-)と表します。日本人の割合はRh(+)は99・5%、Rh(-)が0.5%です。一方、白人はRh(-)が15%ですので、日本人はかなり片寄っています。

これらの2つの血液型は、輸血の前に必ず行われる重要な検査です。原則として、輸血にはABO血液型とRh血液型が同じ型の血液が使用されます。もし、誤って異なった血液型の血液が輸血されると、人命に関わる事態になる可能性があるため、私たち臨床検査技師が責任を持って検査をしています。
最後に、よくいわれる血液型と性格との関連性についてですが、今のところ科学的には一切証明されていません。
(2014年2月1日号掲載)
=写真=笠井大助(臨床検査科科長補佐)