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23 二人三脚の親子関係 ~本音正直に伝える「お母さんも痛い」~

 何か危なそうな道を選ぼうとして、それを止めようとする親のアドバイスに子どもが簡単には従ってくれないときがあります。そんなとき「お母さんはあなたのためを思って(あなたのことが心配だから)言ってるのよ」ということがあります。

「あなたのため」?
 このセリフを使った場合、期待に反して、子どもは、鼻白んだり、かえって態度を硬化させる場合が少なくありません。なぜでしょう。

 知らない人が道で転ぶのを見たとき、「痛いだろうな」とは想像できますが、実際の痛みは感じません。それは、転んだ人と自分とは身体的につながっていないからです。しかし、親子の場合、身体的には別々の人間であっても、心理的なつながりが、良い意味でも悪い意味でも大変強くなります。だからこそ、前回お話ししたような「自分の代理人」という、ちょうど二人羽織で、羽織の中に親が入って子どもを動かすことができるような誤解が発生してきます。

 さて、心理的な距離が近いことで、親は子どもの喜怒哀楽を、程度の差こそあれ共に感じてしまうことになります。つまり、「子どもの喜びは親の喜び」であるだけではなく、「子どもの痛みは親の痛み」ともなります。

 自分の体であれば、自分の意志で「転ばないように」と気を付けることはできます。しかし、親子関係はちょうど、二人三脚をしていて、行く方向を一人(親)は決められないのと似ています。

 「あ~、そっちへ行くと穴があって転ぶぞ!」と分かっていても、穴がない方向へ行くことを(親の方は)自分で選べず、穴に落ちれば一緒に痛い思いをする―という関係です。

 こう考えてくると、子どもが先に穴がある道を選ぼうとするときの親の本音は「子どものためを思って」という以上に、「『自分も』痛い思いをしたくない」ところにあるのが真相ではないでしょうか。その本音を隠して、「あなたのため」などと言うから、子どもにはうそっぽく聞こえてしまうのです。ここは、ひとつ正直になったらどうでしょう。

 「おまえの人生だから、おまえの好きなように生きなさい。でも、おまえが痛い思いをすると、お母さんも痛いってことを分かってほしい」と言うことはできるのではないでしょうか。「僕が不注意でけがをすると、お母さんが一緒に痛い思いをする」と理解することは、子どもが行動を選択する際の、生きたアドバイスとなるのではないでしょうか。
(2014年3月22日号掲載)
 
続・たてなおしの教育