記事カテゴリ:

040 イスタンブール ブルーモスク~祈りの光景に男女の違い~

14-binotabi-0315p.jpg
 私たちが同じホテルに9連泊したのには理由があった。朝食に工夫があったことと、6階レストランからのブルーモスクの眺望が素晴らしいことだ。

 正式には「スルタンアフメット・ジャーミー」。オスマン帝国第14代スルタン(支配者)のアフメット1世が7年かけて、徳川家康が他界した1616年に完成させた巨大モスク(ジャーミー)だ。

 内部の壁面などが美しい青色で有名なイズニックタイルがはめ込まれていることから、通称ブルーモスクと呼ばれている。路面電車でも「スルタンアフメット ブルーモスク」とアナウンスされる。

 祈りの時間が終わると、観光客は裏手の方から内陣を見ることができる。コーランの教えにならい、女性は髪の毛を隠すため、スカーフを無料で貸してくれる。夏はショートパンツの女性に、腰巻きの布が渡される。むろんタンクトップなどはご法度だ。

 このモスクの「売り」は6本のミナレット。ロケットの発射台のような四隅にある尖塔(せんとう)のことで、設計者はトルコ屈指の建築家シナンの弟子メフメット・アー。普通は2本、4本あるのが大モスクだ。「なぜ6本もあるのか」と、ホテルのスタッフに聞くと、面白いエピソードを話してくれた。

 建設前にアフメット1世の指示が「金(アルトゥン)のミナレットを」とあったのを「アルトゥ(6本の)」とアーには聞こえたからだという。

 モスクの中は、集団の祈りが終わっていたが、大きな中央部で個人的に祈りをしている光景がまだ見られた。男性ばかりで、女性は参観者のいる最後尾のコーナーでひっそりと祈っている。こんな光景を見ると、「男尊女卑」ではないかと早合点してしまう。モスクにいた、奥さんが日本人だという30代のイスラム教徒に恐る恐るこの点を質(ただ)した。「ここでは、男性が前面に出てストレスも受けるから平均寿命が短い。女性は何もしなくてよいから長生きなんだ」と反論された。

 イスタンブールでも19時以降、地元の女性は外出せず、出歩いているのは旅行者だけだという。この美しいブルーモスクがライトアップされた夜景をホテルの6階から見ているうちに、幻想的な世界と日本との習慣の違いを、少しずつ実感してきた。
(2014年3月15日号掲載)

=写真=1616年完成の巨大モスク「ブルーモスク」
 
ヨーロッパ美の旅