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042 イスタンブール トプカプ宮殿 ~至宝ダイヤや見事なハレム~

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 イスタンブールの人気ナンバーワンスポットが「トプカプ宮殿」であることは間違いない。トルコへ向かう弾丸ツアーの行き先はカッパドキアやパムッカレで、イスタンブールは通過地だが、ここだけは立ち寄る。

 敷地は約70万平方㍍。トプカプは「大砲の門」という意味だ。東ローマ帝国の聖都コンスタンチノープルを陥落させたメフメト二世が木造で築いた居城。15世紀後半、現在地に本格的に築城し、歴代スルタン(支配者)の絶え間ない増改築で、今の姿になった。

 内城の入り口は対の円すい形の尖塔を持つ「儀礼の門」。入ると、美しい庭があり、右手が宝物館だ。86カラットのダイヤと周囲に49粒のダイヤを施した「スプーン職人のダイヤ」は参観者の度肝を抜く。原石を拾った漁師がたった3本のスプーンと交換したことから、その名が残る。

 また、「トプカプの短剣」は重さ3キロで、世界最大といわれる3個のエメラルドが埋め込まれた黄金の柄(つか)と、ダイヤモンドだらけの鞘(さや)。女性にとって垂ぜんの一品で、当然、監視員の目が光る。

 当時「世界一厳しい」といわれた、この宝物館の警備。これを逆手にとって、短剣を盗むというピカレスク映画「トプカピ」は1964年のアカデミー賞を受賞した。この中で宮殿はもとよりイスタンブールの美しさを紹介。圧巻は、難攻不落の短剣を天井からロープで吊るされた若者が抜き取るという奇想天外な手口。近年トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」にも使われて話題になった。

 この宮殿が異色なのは、本館と言えるものがないことだ。見どころは多いのに、へそが見当たらない。しかし、西陣にあるハレムは日本でも名高く、どきどき感のある屋敷だ。

 ハレムは本来、アラビア語で「禁断の場」を意味する。中に入れたのは、スルタンと幼少の王子のほか、黒人の宦官だけ。日本の大奥に似ている。実際には200~300部屋もあるが、開放されているのは20室ほど。

 宮殿内で私が気にいったのは、一番奥にあった「バグダッド・キョシュク」。ムラト四世が建設した夏の離宮で、内部の青いイズニックタイルと、金角湾を望むロケーションが見事だ。

 イスタンブールの南東170キロにあり、15世紀にここで作られた青い模様のタイルは有名だ。これで飾られた中央の小ドームとともに、四方に張り出しがあり象眼細工で覆われている窓の扉は素晴らしい。「あずまや」という意味のキョシュクは、駅などにあるキオスクの語源になっている。

 隣には黄金の屋根の「イフタリエ」があり、観光客の撮影ポイント。スルタンたちがラマダン月に一日の断食を終えて夕食をとっていた一角だ。屋根の形が温かい料理の蓋の形にも似て、食欲をそそったことだろう。
(2014年4月19日号掲載) 

=写真=トプカプ宮殿の内城入り口にある「儀礼の門」
 
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