帯状疱疹とは、顔、体、腕、足など、体のどこかの片側に主に横長にまとまって(帯状)水ぶくれ(疱)ができる、皮膚のデキモノ(疹)です。神経に沿って出てくるので通常は細長くなります。
神経の中を進むので皮膚に出てくる前に痛くなります。皮膚の表面は1週間くらいでかさぶたになって治りますが、神経は治るまでに時間がかかるので、4カ月くらい痛みが続く人が多く、中にはそのまま痛みが残ってしまう人もいます。
お年寄りに多い病気ですが、子どももなることがあります。
ウイルスが原因
帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)のウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が原因です。ウイルスが背骨の辺りにある神経節という神経の塊に残っていて、水ぼうそうに対する免疫が落ちてきたときに神経に沿って皮膚に戻り、症状を引き起こします。
普通の人がかかっても、弱っていた水ぼうそうの免疫が目を覚ますので抑えてくれますが、白血病、がんの化学療法の副作用が強く出てしまったときなど、免疫が効かなくなっていると水ぼうそうのような症状を経て脳炎になり、命に関わる場合もあります。
普通の人で困るのは、痛みが残ってしまうことがある場合と、出た場所の近くの神経などを傷めてしまう場合です。おでこの辺りにできたときに目に入って失明してしまう、耳の近くにできたときにそちらの耳が聞こえなくなる、めまいがする、お尻の辺りにできたときにおしっこが我慢できなくなる、などが知られています。
一刻も早く受診を
診断がついたら、すみやかに抗ウイルス剤を使ってウイルスを抑える治療をすることが大切です。皮膚に出てきてから3日たってしまうと、抗ウイルス剤を使っても、痛みの残り方にあまり差がないといわれています。皮膚に症状が出たら、一刻も早く受診してください。
痛みに対しては、普通の痛み止めや神経痛の薬を使いますが、初めからひどければステロイドホルモン剤を使うこともあります。後々まで残る痛みには背骨に直接打つ注射(神経ブロック)をすることもあります。
感染するときは、水ぼうそうとしてうつります。このウイルスは空気感染なので、水ぼうそうにかかったことのない人が同じ部屋にいるだけでうつることがあります。

予防法は、日本ではあまり一般的ではありませんが、50歳くらいの時に水ぼうそうのワクチンを注射すると、ある程度防げることが知られています。
(2014年5月24日号掲載)
=写真=村田 浩(皮膚科部長=専門は皮膚悪性腫瘍)