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26 ノイズとシグナル ~聴き続けるうちに 意味が分かってくる~

 子どもの言動について、「どうしてそんなことを言ったり、したりするのか意味が分からない」と対応に頭を抱えることはありませんか?

理解できない言動
 現代日本の思想家の一人、内田樹(たつる)は「下流志向」という本の中で、育児において「ノイズ(雑音)とシグナル(信号)」の違いを理解することの重要性を指摘しています。

 ノイズは「意味を持たない音」、シグナルは「意味を持つ音」です。

 例えば、車を後退させるとき「ピッピッピッピ」という音がします。これは「この車が後ろへ下がりますから注意してくださいよ」という意味を伴っている音、つまりシグナルです。

 一方、家のどこかから「ピピピピ」というような音が瞬間的に聞こえてきたと想像してください。その音を耳にして、一瞬「あれ?」と思ったとしても、それ以上音が続かなければ、それっきりその音に注意を向けることはなく、無視しようとします。なぜなら、その音の意味が分からないからです。

 しかし、ノイズの中には、初めは意味が分からなくても、注意を向け、聴き続けているうちに、実はそこに意味があったと分かってくる場合があります。ノイズだと思っていた「ピピピピ」が繰り返し起こることに気づき、耳を傾けているうちに、使用後に電源を切るべき電気機器から発している「電源を切ってください」という警告音であると分かるように。

 子どもが、自分には理解できない言動をするとき、最初それは、意味が分からないノイズに聞こえます。意味が分からないので、聞こえなかったことにしがちです。

 しかし、今の私には意味が分からないけれど、この子がしていることには、「私がまだ気づきも、理解もしていない意味」が潜んでいるのかもしれないと考えることも可能です。

 子どものどんな言動でも、その一つ一つに意味が潜んでいる可能性があるとすれば、親である我々に求められるのは、まずは、隠されている意味が分かるまで、時間をかけて耳を傾け続けることではないでしょうか。

 お子さんの奇異な行動には、もしかしたら、素晴らしい音楽が隠されているかもしれませんよ。
(2014年6月28日号掲載)
 
続・たてなおしの教育