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36 南九州3山 ~開聞岳と韓国岳の山頂に~

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 5月末、3泊4日で南九州の日本百名山3山に登る旅行会社のツアーに参加した。屋久島の宮之浦岳(1936メートル)は大雨で途中から引き返したが、翌日の開聞岳(かいもんだけ)(924メートル)、翌々日の韓国岳(からくにだけ)(1700メートル)には登ることができた。

 初日は長野駅東口を3時40分にバスで出発。羽田から空路、鹿児島へ。鹿児島本港から船で15時過ぎに屋久島に渡り、亜熱帯の植物が茂るガジュマル園を見学。そこから島の南端にあるユースホステルに移動して宿泊した。

 翌朝、トタン屋根を打つ激しい雨音で目を覚ます。「月に35日は雨」といわれる屋久島だけに覚悟はしていたが、はるばるやって来て朝から本降りとは...。最初から上下の雨具を着てザックカバーをし、4時45分に九州一の高峰・宮之浦岳に向けて出発。

 添乗員を含む一行21人を乗せたバスは、うっそうとした樹林の中を進む。車中で朝食弁当を食べ、1時間余で淀川(よどごう)登山口へ。現地ガイドが4人付き、さらに激しくなった雨を突いて登り始める。

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 川となった登山道を「どうせ濡れるから」とじゃぶじゃぶ歩き、1時間ほどで無人の淀川小屋に到着。ここでリタイアする女性たちが出た。ガイドから「これ以上は危険」と登山中止の提案があり、全員が同意。大雨警報が出ていた中で、往復10時間の踏破は無理だった。

 帰路、林の中で目にしたヤクシマシャクナゲの薄ピンクの花が雨に濡れ、ひときわ美しかった。その日は屋久杉の一つ、紀元杉や屋久島自然館を見学して早々にホテルへ。温泉で体を温め、やっと一息ついた。

 3日目は前日の大雨がうそのような晴天。屋久島の港を7時に船で出発。隣の種子島に立ち寄り、9時半に鹿児島本港へ。途中、海上に、これから登る開聞岳が均整の取れたコニーデ型の美しい姿を見せていた。

 本港からバスで2時間近くかかって指宿(いぶすき)市の開聞岳登山口へ。登り始めたのは正午前。1時間ほど登った5合目で昼食のおにぎりを4個たいらげる。

 約3時間で山頂に。百名山では2番目に低い開聞岳だが、標高差は約900メートルあり、上りはかなりきつい。6~7合目から上は、新しい噴火でできた2重式火山だ。下部は火山灰、上部は火山岩でできている。

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 頂上直下からは、前日登れなかった屋久島の宮之浦岳を遠望。山頂からは眼下に巨大ウナギがいる池田湖、その向こうに錦江湾を望み、煙が上がる桜島の姿も。さらに遠くには、翌日登る霧島山系の最高峰・韓国岳や高千穂峰(たかちほのみね)(1574メートル)も見える。

 上りと同じルートで下山。登山口をバスで18時過ぎに出発。霧島温泉のホテルに着いたのは20時過ぎ。夕食を済ませてからの入浴だった。

 4日目は7時45分に出発。バスで宮崎県側のえびの高原登山口へ。韓国岳の山腹を染めるように咲くミヤマキリシマの赤紫色の群落が目を奪う=写真下。石コロ道を1時間半で山頂へ。

 実際には見えないが、遠く朝鮮半島まで見渡せる高い山というのが山名の由来だ。東側に荒々しい爆裂火口を見下ろし、東南側には3年前にも噴火した新燃岳(しんもえだけ)(1420メートル)と、その先に天孫降臨の神話で名高い高千穂峰が続く。

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 眺望を楽しんだ後、下山。えびの高原の温泉で汗を流し、昼食を済ませて鹿児島空港へ。14時30分発の飛行機で羽田へ。空港からのバスは、21時前に長野駅東口に到着した。
(2014年6月14日号掲載)


=写真1=開聞岳の山頂から池田湖と錦江湾を望む
=写真2=激しい雨の中を宮之浦岳へ向かう一行
 
中高年の山ある記