記事カテゴリ:

73 修類彙 ~書の中の「難中之難」~

73-zozan-0614.jpg
 分かりにくいものが多い佐久間象山の書の中でも、最も難しい「難中之難」と思われる文章が現れた。「修類彙」=写真=という巻物になっていた。専門家に読んでもらい、大意だけがおおよそ判明した。

 一昨年夏、書道を教えている居町の金井富治さんから友人を介して、「中学時代の同級生が所蔵している書。解読できないか」と、コピーを示された。いろいろと調べてみたが、手に負えず、専門家の関保男さんに見てもらった。

 関さんは「小生の力では読みこなすことはできない」と言いながら、大意を教えてくれた。

 それによると、「紫微垣(しびえん)」「六十甲子(ろくじゅうきのえね)」「舎利」「紙鳶(たこ)」「飲器」「僧衣」など、8項目から成る内容だ。

 要点を列挙する。表題は類似の語彙、つまり間違いやすい用語を正すといった意味だ。紫微垣は古代中国の天文学で、北斗星の北にある星座をいう。天の中枢にある星座で、天帝の居所とされた。六十甲子は十干、十二支の組み合わせで、運勢判断に用いる方法である。

 舎利は仏の遺骨、紙鳶は凧のこと。飲器は酒盃とオマル(溲瓶(しびん))の2つの意味がある。飲器に対する象山の見解が面白い。僧侶はもともと黒衣を着たが、元の文宗が寵愛した僧に黄衣を賜ったので、それ以後、みな黄衣になった。

 修類彙の所蔵者は、三輪の千歳屋商店社長、山本啓旦(ひろあき)さん(68)。祖父が南画家の長井雲坪(新潟市出身)などの掛け軸や巻物が好きで、収集した中に象山の書が含まれていたという。山本家は明治時代に火災に遭ったが、象山のこの書は無事だった。
(2014年6月14日号掲載)




 
象山余聞