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40 飯山街道 小菅山 ~森厳の気を満身に受けて~

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 梅雨明けを待って7月24日、飯山市の小菅山(1047メートル)に峯入りする。この山は、戸隠・飯縄の両山と並ぶ修験の聖地で、笹本正治信大教授は「山岳信仰の一大拠点である」と論じている。

 JR飯山線北飯山駅で降り、飯山城址を訪ねる。歴代の飯山藩主は小菅山を厚く崇敬していたが、それを偲ぶ跡は残っていない。

 表参道の旧国道を北に向かい、1時間余で大関橋西詰(にしづめ)に着き小休止。ここは小菅山への玄関口で一の鳥居があった。千曲川を渡り二の鳥居の小菅神社の堂々とした鳥居を抜け、長い坂を上る。

 夏の日差しを受けながら、ゆっくりと進み、間もなく南・北参道との交差点で汗を拭う。ここには「右いちご(越後)道 左善光道」と刻まれた石の道しるべが立ち、旧姿を今に伝えている。

 さらに進むと、廃仏毀釈でなくなった小菅山元隆寺の西大門だった仁王門で、修験の里・小菅に入る。一茶は「山陰や 山伏むらの唐がらし」(1823年8月)の句を残している。

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 小菅神社の里宮の参拝を済ませ、隣の講堂に入り阿弥陀如来に写経を奉誦。人けのない堂前の広場で大休止。昨年7月の心躍る柱松神事の情景が甦ってきた。豊・吉事を占うこの神事は小菅の最大の祭礼で、3年に1度行われる。近くに住む吉原和義さんは「小菅区64軒が力を合わせ、修験の里の伝統を守り続けている。2年後が待ち遠しい」と熱く語った。
 古木の杉並木の奥宮参道に足を入れ、森厳の気を満身に受けて石畳を一つ一つ踏む。鐙(あぶみ)石をはじめとした磐座(いわくら=神の拠りどころ)を拝しながら山道を上ると、岩壁を背にした奥宮だ。創建者と伝えられる(役行者=えんのぎょうじゃ)の法号を読誦。

 元に戻り風切(かざきり)峠への入り口で小休止。この峠は神戸(ごうど)地区からの南玄関で、梅雨の湿りが残る杉林の坂を上り、峠に到着。風の神などの石碑に般若心経を読誦し、神戸地区に下る。

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 クマザサの露を払いながら、古道を3キロほど進むと、神戸の大イチョウの前に出る。樹齢500年余の神木の霊気に包まれながら遅い昼餉(ひるげ)。

 平成23年7月より、北信濃の峯と古道などを訪ねてきて、ここで一つの節目を迎えた。来し方を振り返りながら、目線は西のかなたにある。私は6月7日、ユーラシア大陸の西の果て、スペインのフィスティーラ岬に立ち、心願成就を祈願した。その後、東へ反転し、祈りの原郷・善光寺への巡礼に旅立ったのである。神木に最後の巡礼の無事成就を祈願して納めとした。次回は「スペイン巡礼」である。
(2014年8月9日号掲載)

=写真1=3年に1度、昨年行われた「柱松神事」
 
絆の道