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14年8月 季節表す美しい言葉 四季実感「七十二候」

 日本には季節を表す言葉が数多く存在します。天気に関する仕事をしていると、美しい言葉に出合う機会が多くあります。

 私が特に好きなのが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。夏至や冬至などの二十四節気を、さらに細かく分けたものです。一年をおよそ五日ごとに七十二に分けて、気候の細かな変化や動植物の様子を表現しています。江戸時代初期までは中国で作られた七十二候をそのまま使っていましたが、その後は日本の気候に合わせて何度か修正されてきました。

 例えば、八月三十日は「天地始粛(てんちはじめてさむし)」。天地の暑さがようやくおさまり始めるころという意味です。確かに一時期の暑さからは随分としのぎやすくなったように感じますよね。

 その後は、「禾乃登(こくものすなわちみのる)」で、稲が実り、穂を垂らすころ。「草露白(くさのつゆしろし)」で、草に降りた露が白く光って見えるころ、と続きます。

 七十二候を見ると、あらためて日本には豊かな四季があることを実感できます。

 これからの季節は、気温の変化や秋に向かう風景だけではなく、日の短さやキンモクセイの香り、虫の音など、これまで以上に季節の変化を感じやすくなります。普段の忙しさに追われるだけではなく、五感を使って季節の進みを感じていきたいですね。
(2014年8月30日号掲載)

=写真=収穫間近の水田(須坂市内)
 
松元梓の四季彩々