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37 スイス・アルプス(上) ~マッターホルンの麓を歩く~

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 7月下旬から8月上旬にかけ、念願のスイスアルプスを訪れた。マッターホルン(4478メートル)の麓・ツェルマットと、「世界一美しい村」グリンデルワルトを拠点に、壮大な山岳景観と一面のお花畑を眺めながらトレッキングを楽しんだ。

 案内してくれたのは、本紙連載「ヨーロッパ美の旅」の筆者で、スイスは今回で4回目の東海周二さん。60代半ばから70代初めの3組の夫婦と単身男性2人の計8人が参加した。

 成田空港で全員が合流し、13時間の空の旅を経て現地時間19時過ぎにチューリヒに到着。空港近くのホテルに宿泊し、翌朝、特急列車で首都ベルンを経由して登山電車に乗り換えツェルマットへ。

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 その日の午後、標高3089メートルのゴルナーグラート展望台に登山電車で向かった。雲に隠れたマッターホルンは一瞬、全貌を見せただけだったが、間近に見るゴルナー氷河の眺めは素晴らしい。スイスアルプスで2番目に高いモンテローザ(4634メートル)から、はるか下方へ延びる"氷雪の川"は初めて目にする光景だ。スケールの大きさに圧倒される。

 展望台のレストランで昼食後、下りはトレッキング。途中の湖に映る「逆さマッターホルン」は見られなかったが、色とりどりの花々に魅了された。雨が降り出したため、歩くのは一駅間だけでやめ、再び登山電車でツェルマットへ。

 次の朝、ホテルの窓を開けて驚いた。7月も末日というのに、周囲の山々の上部が真っ白。前日の雨は夜、雪に変わっていたのだ。朝食時に、すっかり雪化粧したマッターホルンが神々しい姿を見せた。

 その日は地下ケーブルカーで、マッターホルンが最も美しく見えるスネガ展望台へ。そこからロープウエーに乗り換え、標高3100メートルのロートホルンへ。ゴンドラに乗っている途中から雪が降り出し、ロートホルンでは30センチほどの積雪に。

 雪が降りしきる中をスネガに下り、そこから花の写真を撮りながらツェルマットまで歩く。ツツジに似たアルペン・ローゼなど、日本の山では見かけない種類も多い。

 滞在3日目は、マッターホルンを間近に見られるヨーロッパ最高所の展望台、クライン・マッターホルン(3818メートル)へ。ロープウエーを乗り継ぎ、約1時間で到着。

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 エレベーターで展望台入り口に上り、一歩外に出ると一面の銀世界。その上、すさまじい吹雪だ。記念写真を撮るのがやっとで、お目当てのマッターホルンは見えずじまい。通路にある氷の彫刻を見た後、レストランで冷え切った体をホットワインで温める。

 帰路はロープウエーを途中下車し、マッターホルンの山腹に見える小屋まで1人で登ってみた。「石の巨人」といわれる巨大な山だけに1合目にも達しない高さだが、1時間近くかけて登ってみると、そこはスキーリフトの終点だった。

 下山して、池の縁にある小さな教会の内部を見学。さらに2時間ほど、東海さんと2人で一面のお花畑の中を歩いて下る。標高が高く湿度が低いためか、汗はまったくかかない。空気は爽やかで、虫もいない。終始快適なトレッキングだった。  
(2014年8月30日号掲載)

=写真1=7月末日というのに雪化粧したマッターホルン
=写真2=圧倒的なスケールのゴルナー氷河
 
中高年の山ある記