01 妙高高原駅 ~長野とのつながり深く

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 平日朝のJR信越線・妙高高原駅。6時55分発長野行きの発車時刻前には、長野に向かう通勤客や長野市内の私立校の制服を着た中高生が通ってくる。
 駅があるのは新潟県妙高市だが、県境からの距離はわずか100メートル余り。普通電車に乗ると、直江津までと長野までの所要時間はほぼ同じ。駅近くに住む妙高市民にとって、「最も近い大きな街」は長野だ。

 駅から1キロほどの関川に住む鴨井秀康さん(54)は、長野市内の団体事務局に勤めて23年。北長野駅まで信越線を使って通勤する。「ほぼ同じ距離の直江津にも団体の事務所があるが、大きい街の方がいいと思い、長野市に通い続けている」と言う。

 長野市内の私立高校3年の長女(18)を駅まで車で送ってきた母親(55)は、「上越の学校に通わせたとしても同じ距離。(隣県に通わせることに)抵抗は全然ない」。買い物やコンサートなどのために家族で長野市へ出掛ける機会も多いと言い、「(心理的な距離は)近いと思う」。

 駅近くに住む80代の女性は、長野市出身。買い物や病院は長野市内まで、美容院は上田市のお気に入りの店まで足を延ばす。
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 野尻湖の北東、山に囲まれた信濃町古海地区は、最寄り駅が妙高高原駅。同地区を走る路線バスの行き先も、町中心部ではなく妙高高原駅だ。かつては川中島バス(のちアルピコ交通)が、今は町の地域公共交通協議会が運行している。古海から約15分、両側の山が切れて熊坂の集落に出ると、目の前には県境である関川の先に妙高高原駅前の街並みが開ける。

 古海に住む女性(70)は月に1回、長野市へ出掛ける際にバスを利用する。「タクシーを使うときは黒姫駅に向かう」と言うが、バスの行き先が妙高高原駅であることに不都合は感じていない。

 県境付近では、どちらの県であるかは生活レベルで住民にあまり意識されていない。「北しなの線」は、長野とのつながりが深いこの妙高高原が終着駅となる。

写真上=県境の関川(緑色の鉄橋)を渡ると、妙高高原駅(右手奥)はすぐそこ(信濃町熊坂から撮影)

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妙高高原駅
 (新潟県妙高市田口)
 ◇標高 510・3m
 ◇開業 1888(明治21)年
 ◇1日平均乗車人員 359人(2012年)

 妙高高原の街は江戸時代、今の駅より約2キロ南西の北国街道に設けられた関川関所と関川宿を中心に発展した。駅は「田口駅」として開業(1969年に改称)。80~90年ごろまで赤倉をはじめとする温泉とスキーの客でにぎわい、急行や特急の停車駅として多くの旅客をさばいた。来年JRから経営分離されると、新潟県の第三セクター「えちごトキめき鉄道」の管理駅となる。

●運行形態
 運行本数は現行並みを確保する予定だが、原則として北しなの線の長野―妙高高原間の折り返し運転に。しなの鉄道線との相互乗り入れや、妙高高原を越えて直江津方面と結ぶ直通運転も時間帯によって行う方向で調整している。
 経営分離に伴い、JR飯山線は長野―豊野間で北しなの線に乗り入れることになるが、現在と同様に長野を発着する形態で運行される。
 実際のダイヤは新幹線やJRのダイヤ設定を受け、接続などを考慮して来年1月までに発表される見通しだ。

●車両
 しなの鉄道は、現在信越線で使われている115系電車3両編成5本をJRから譲り受け、ワンマン運転に対応できるよう改造して走らせる。車体色は、篠ノ井以南を走るものと同じ、赤とグレーのしなの鉄道車両の塗色となる予定だ。
 ワンマン運転は、3両編成以下で運行する場合に実施。通勤・通学時間帯などは車掌の乗務する4両以上での運転も行う。

●駅と運賃
 線区の中ほどにある豊野駅を直営の社員配置駅とし、それ以外の駅の運営は原則として地元市町に委託。各駅にJR線や直江津方面への連絡切符も買える自動券売機などを設置する予定だ。冬期は黒姫駅にも社員を配置し、雪による輸送障害への対応などを行う。
 運賃は、しなの鉄道線の運賃と同じ水準に引き上げられる見込み。しなの鉄道の運賃は現在、JRに比べて通常で1.24倍、通学定期で1.61倍高い。
(竹内大介)
(2014年7月5日掲載)