02 妙高高原駅 ~駅前の100年 見つめ続け

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 妙高高原駅(新潟県妙高市)を親子4代にわたって見つめてきた家族がいる。道路を挟んで駅の正面にある「カネタみやげ店」の石田雄太郎さん(52)一家だ。

 約100年前、近くの集落から出てきた石田さんの曽祖父が、駅と各家庭をつなぐ運送業「カネタ」を開業。1955年、母・千枝子さん(78)が「カネタみやげ店」を開店した。
 この一帯の保養地、観光地としての歴史は古い。駅周辺には、湯治場として名高く、大正時代以降は皇族や多くの名士がスキーや避暑に訪れた赤倉温泉をはじめ、5つの温泉が点在。50年にスキーのリフトが設置されると、全国からスキーヤーが押し寄せた。

 千枝子さんが振り返る「昔話」は、華やかだ。「シーズンには、帰りの列車を待つ観光客の長い列が、駅の改札から10数メートルも続いていた」「駅に列車やバスが着くたび、店内になだれ込むようにお客が来た」―。
 スキーにテニス、ゴルフ、ペンション。ブームのたびに人が押し寄せ、引いて、また集まった。それが「バブル崩壊後は引いたまま」(雄太郎さん)の状況が続く。

 100年の歴史があり、妙高土産の代名詞でもあった「あんもち」「笹寿司」を製造販売していた老舗をはじめ、多くの商店や旅館が消えた。25年前に地元企業を辞めて店を継いだ雄太郎さんは、8年ほど前から店を千枝子さんと父、清吾さん(82)らに任せ、近くの畑で妻の晴子さん(52)とソバやブルーベリーを栽培。冬場はアルバイトで測量の仕事にも出る。
 日焼けした雄太郎さんは、力を込めて言う。「第三セクターになることで新しい時代が来るのでは、と町も商工会も頑張っている。自分も頑張らなくては」

 長野と新潟をつなぐ妙高高原駅。駅前唯一の土産物店となった「カネタ」の店内には、新潟の特産品と並んで、そばや唐辛子など長野の特産品も置かれている。
 人影まばらな平日昼間の駅前広場に、「カネタ」が店内でかける軽快な音楽が流れる。家族の歴史を刻んできたこの土地で、石田さん一家の踏ん張りが続く。

写真:開店準備をする雄太郎さん
(村沢由佳)
(2014年7月12日掲載)