07 牟礼駅 ~高校生がもり立てる駅

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 牟礼駅下りホームの一画に6月のある午後、北部高校(飯綱町普光寺)の生徒12人が集まった。この日は同校生徒会が10年以上続けている、ホームの花壇の植え付け作業。1時間半ほどかけて、マリーゴールド、ペチュニア、ニチニチソウなど計160本の花苗を「流れ星の形」に並べて植えた。
 「いろんな人の願い事がかなうように、星の形にした。想像以上によくできた」と生徒会副会長の小林友さんは笑顔を見せた。
 10月まで生徒会執行部の生徒が毎日交代で水やりに訪れ、草取りも続ける。

 鳥居川沿いに立つ牟礼駅から坂道を15分ほど上った所にある同校では、電車通学者が全校生徒の8割を占める。三才や北長野など長野市内の駅から乗車する生徒を中心に、約230人が毎日朝夕、牟礼駅を利用する。

 同校が重視するのが、地域との交流を通じた学習活動。地域住民を講師に、学校隣の畑を借りてのリンゴ栽培、信濃町古間での鍛冶体験などを行う。反対に、生徒が地域のお年寄りに携帯電話の使い方を教える講座も開く。 青木修一教頭は「昔と比べてコミュニケーションが苦手な生徒が多くなる中で、地域の大人と接するのは意義が大きい」と話す。

 生徒会も地域と関わろうと、牟礼駅で6~10月に花壇作りと管理、12月にはクリスマスの飾り付けを行うのが伝統だ。夏と冬には、通学時間帯の電車の車掌室に入り、乗客に乗車マナー向上を呼び掛けるアナウンスも行っている。

 「JRとしても大変ありがたい」と牟礼駅を管理する柳沢忠男・豊野駅長。昨年、生徒会に対し駅長表彰を行い、「今までの取り組みに最大限の感謝を伝えた」と言う。
 同校は、来年3月に信越線が北しなの線になった後も同じ取り組みを続けられるよう、飯綱町を通じてしなの鉄道に要望している。

写真:花を植える北部高の生徒たち


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牟礼駅(飯綱町栄町)
 ◇標高 487・1メートル
 ◇開業 1888(明治21)年
 ◇1日平均乗車人員 800人(2012年)
 蒸気機関車の煙害や農地の提供が嫌われ、旧牟礼宿や近くの小玉集落を避けて宿場の東に開設。その後駅前に街(栄町)ができた。繭や米、リンゴなどを扱った貨物業務は1961年に国鉄が廃止を打ち出したが、周辺3農協が反対運動を展開、撤回させた(81年に廃止)。56年に豊野駅から移設されたホームこ線橋の橋脚は1900(明治33)年製。駅舎は22(大正11)年築。
(竹内大介)
(2014年8月23日掲載)