00 概略と2015年3月以降の見通し

 来年3月に北陸新幹線(長野経由)が金沢まで延伸開業します。JR信越線の長野―妙高高原(新潟県妙高市)間は、現在篠ノ井―軽井沢間を走らせる第三セクター・しなの鉄道(上田市)が運営する「北しなの線」となります。

 開業まで8カ月余り。準備が進む北しなの線の姿を紹介するとともに、沿線の人や地域の動きを追うシリーズ「北しなの線へ~信越線 鉄路と人と」。

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 新幹線延伸と同時にJR東日本から経営分離される「北しなの線」は、長野―妙高高原間の373キロに、8の駅を擁する。 

 信越線は1888(明治21)年、それまで直江津から関山(現妙高市)まで開通していたのに続き、長野まで延伸開業。5年後に横川―軽井沢間が開業して全通すると、高崎から日本海へ通じる幹線として旅客や貨物の輸送を担ってきた。

 かつては特急「あさま」や「白山」などの長距離優等列車も走ったが、現在は多くが直江津―長野間で折り返し運転を行う普通・快速電車を運行。妙高高原以南は、県境から県庁所在地で経済圏の中心にある長野に向けて乗客が増える生活路線だ。

 

 輸送規模の指標となる同区間の輸送密度(11キロ当たりの平均利用者数)は4734人で、しなの鉄道(篠ノ井―軽井沢間)の6831人の7割(いずれも2012年)。県は経営分離後、新幹線利用への転換と沿線人口の減少で、開業10年後に3069人まで減少すると見込む。

 

年明けに住民説明会

 しなの鉄道は、北しなの線運行の従事者として201314年度に60人の社員を採用。昨年10月以降、線路や信号・通信の設備管理などを学ぶためJRに社員を派遣している。

 年明けには住民や利用者を対象にした説明会を駅ごとに開き、ダイヤや運賃、切符の買い方などについて説明を行う予定だ。

 開業後の北しなの線の収支について経営基本計画では、運賃などの収入に対する経費は年間4億円前後の赤字となるものの、非常時の貨物輸送経路の確保を名目とした国からの支援、年間4億円強を見込む。しなの鉄道の高野昭次・北しなの線開業準備室長は「経営は心配ない」と話す。

 ただ、利用しやすい鉄道として将来にわたって存続し続けるためには、利用促進に向けた取り組みを続けることが欠かせない。高野室長は「臨時便やイベント列車運行などの利用促進策についても柔軟に考えたい」とした上で、「減便や運賃値上げをせざるを得ない状況にならないように、少しでも多くの人に乗ってほしいし、地域の皆さんにも利用を増やすための知恵を絞ってほしい」と求めている。


 金沢まで延伸開業する新幹線は、長野を出ると飯山(飯山市)、上越妙高(新潟県上越市)、糸魚川(糸魚川市)、黒部宇奈月温泉(富山県黒部市)、富山(富山市)、新高岡(高岡市)を経て、金沢(石川県金沢市)の各駅を通るルートだ。

 開業に伴い、沿線の新潟、富山、石川の各県でも並行在来線の信越線と北陸線がJRから経営分離される。3県では、それぞれ県と沿線自治体などによる第三セクターの会社が新たに設立され、移管後の鉄道を経営する。

 

 新潟県では「えちごトキめき鉄道」が、信越線の妙高高原―直江津間を、春の妙高山に現れる雪形にちなむ「妙高はねうまライン」(38キロ)として、北陸線は直江津以西、県西端の市振までを糸魚川特産のヒスイにちなむ「日本海ひすいライン」(60キロ)として運営する。

 

 富山県では「あいの風とやま鉄道」が越中宮崎~石動間の99キロを、石川県では「IRいしかわ鉄道」が倶利伽羅~金沢間21キロを運営する。

 各社はそれぞれの県内の経営を担うが、主要駅間で相互乗り入れによる直通運転を行う予定だ。

●運行形態

 運行本数は現行並みを確保する予定だが、原則として北しなの線の長野―妙高高原間の折り返し運転に。しなの鉄道線との相互乗り入れや、妙高高原を越えて直江津方面と結ぶ直通運転も時間帯によって行う方向で調整している。

 経営分離に伴い、JR飯山線は長野―豊野間で北しなの線に乗り入れることになるが、現在と同様に長野を発着する形態で運行される。

 実際のダイヤは新幹線やJRのダイヤ設定を受け、接続などを考慮して来年1月までに発表される見通しだ。


●車両

 しなの鉄道は、現在信越線で使われている115系電車3両編成5本をJRから譲り受け、ワンマン運転に対応できるよう改造して走らせる。車体色は、篠ノ井以南を走るものと同じ、赤とグレーのしなの鉄道車両の塗色となる予定だ。

 ワンマン運転は、3両編成以下で運行する場合に実施。通勤・通学時間帯などは車掌の乗務する4両以上での運転も行う。

●駅と運賃

 線区の中ほどにある豊野駅を直営の社員配置駅とし、それ以外の駅の運営は原則として地元市町に委託。各駅にJR線や直江津方面への連絡切符も買える自動券売機などを設置する予定だ。冬期は黒姫駅にも社員を配置し、雪による輸送障害への対応などを行う。

 運賃は、しなの鉄道線の運賃と同じ水準に引き上げられる見込み。しなの鉄道の運賃は現在、JRに比べて通常で1.24倍、通学定期で1.61倍高い。


(2014年7月5日掲載)