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42 スペイン巡礼 フィスティーラ岬とサラマンカ ~中世の騎士に思いを馳せる~

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 地の西の果て・フィスティーラ岬で祈り、中世都市・サラマンカのサンティアゴ騎士団貝の家を訪ねる。

 雨の6月7日、サンティアゴからバスでフィスティーラ岬に向かう。終点で降り、巡礼宿で「巡礼終端到着証明書」を手にして3キロ先の岬を目指す。修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)と亡き母は「東日本大震災の御霊に、山伏としての作法を果たせ」と私に命じている。横なぐりの雨に苦しみながら、岬の灯台に着く。

 晴れ間を待って岩頭に立ち、大西洋に般若心経を奉誦。鎮魂の経は大海原に至る。潮騒はそれへの返歌か、御霊と私との共鳴りである。

 吉野修験・喜蔵院の中井教善住職から託された祈祷木札を岩の間に埋める。黙祷後、充実した興奮で東へ反転し、祈りの原郷・善光寺へのはるかな旅路に出立。

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 バスでサンティアゴへ戻り、聖都での最後の一夜を楽しむ。マドリードで2泊した後、11日バスでサラマンカに向かう。車中で、数年前に上越市の高田カトリック教会へ赴任したオリベス牧師と隣り合わせとなる奇縁を得た。師は「我々人類に、『3・11フクシマ』は重く深い問いを投げ掛けた」と静かに語った。

 サラマンカ駅前で降り、大聖堂裏の巡礼宿に旅装を解く。この地は、旧市街全体が世界遺産の中世都市で、世界で3番目に古い1218年創立のサラマンカ大学が有名である。

 まずサンティアゴ騎士団貝の家を訪ねた。この騎士団は、聖都と巡礼者守護のため1170年に結成された。ゴシック様式の建物は、外壁を巡礼者のシンボルである350個の帆立て貝で飾り、思わず目を見張る。現在は公立の聖書図書館になっている。

 中世の気配が濃厚な館内で、十字と剣を組み合わせた紋章を胸に、勇名をとどろかせた騎士たちに思いをはせる。

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 翌12日は晴れわたり、サラマンカ大学と、12世紀から18世紀にかけて造られロマネスクとゴシック様式が組み合わされた大聖堂、コロンブスの像が刻まれている回廊のマヨール広場、ローマ橋などを訪ね、中世へのタイムスリップを楽しむ。

 スペインの旅も終わり、13日バルセロナに向かい、日の出る国への途に就いた。善光寺は遠く、はるか東にある。しかし、阿弥陀は輝き、その磁力は強く、私の心に迷いはない。行く手に境目のない無限の空間と時間を念じ、ひたすら祈りの旅を続けることとする。

 次回は終章で、善光寺街道の麻績宿から姨捨の里へ歩く。
(2014年10月11日号掲載)

=写真1=サンティアゴ騎士団の貝の家(スペイン政府観光局提供)

=写真2=フィスティーラ岬で埋めた祈祷木札
 
絆の道