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48 全戸水洗化 ~下水道整備を推進 処理場用地が難航~

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 環境問題では、家庭 雑排水や工場廃液で用水路や河川の汚れが進み、市内の全戸水洗化が不可欠でした。市街地の大部分は下水道整備で、中山間地は農業集落排水事業で水洗化を進め、残りは個々の合併浄化槽への補助で全戸水洗化が実現するよう計画しました。

 千曲川流域下水道は、県が終末処理場を造り、市が下水管の敷設を進めることになっていました。処理場の用地確保は市が受け持ちましたが、上流処理区予定地の更北真島地区は優良農地として強い反対があり、地権者の了解取り付けが大変難航しました。担当職員には、毎日でも地元の関係者を訪問し、お茶飲み話をして理解を深めてもらうようお願いし、頑張ってもらいました。

普及率は現在96%に
 幸い長野オリンピックの開催決定も追い風となり、1993(平成5)年3月に用地調印式にこぎ着けました。96年に処理場の「アクアパル千曲」が供用開始となり、地元の更北地区から順次、下水道管が敷設されて水洗トイレが使えるようになりました。

 赤沼地区の下流処理区の処理場「クリーンピア千曲」は93年に完成していました。五輪競技施設への幹線下水道管敷設は優先的に国の補助金が獲得でき、それだけ水洗化も早まりました。これも五輪効果の一つです。

 長野市の現在の下水道普及率は96%です。市民の皆さんの生活環境改善に大きな役割を果たしたことを思うと感慨深いですね。

 私が市会議員だったころ、地元の安茂里地区には小市、犀北、杏花台、伊勢宮などの団地が次々に造成され、優良住宅地となりました。当時、下水道整備は私の公約でもありました。20年ぐらいかかりましたが、安茂里地区にも下水道が整備され、ようやく公約を果たすことができました。

 そのころは終末処理場のほかにも、高速道・新幹線や、南長野運動公園・今井の選手村など五輪関連施設の広大な用地取得が必要でした。

 それぞれの買収予定地の地権者にアンケート調査をすると、「先祖伝来の土地なので代替地を希望する」という回答が大多数でした。どの事業も五輪までに完成させる必要があり、市土地開発公社が市内各地に広く代替用地を確保しました。

 ところが、最終的に用地契約の段階になると、金銭で決着し、代替地は不要というケースが大半でした。五輪終了後、若里のカネボウ跡地をはじめ、各地の代替用地が要らなくなったわけです。

不要土地売却急ぐ
 全国的には五輪開催の5年ほど前から地価が下がり始めていました。長野は五輪景気もあって、まだ横ばいでした。しかし、いずれ下がるので、不要な土地は早く売却しないと赤字になると考え、助役をキャップに土地売却プロジェクトチームを設置しました。代替用地に確保した不要な土地の売却を急ぎ、土地価格が大幅に下落する前に何とか処分することができました。

 若穂綿内の東山工業団地も、地元の要望もあって五輪前の93年ごろ用地を取得しました。95年に造成して10ヘクタール、31区画を売り出しました。しかし、全部売却できるか心配で、できるだけの補助制度をつくり、企業誘致にも努力しました。そのおかげで、次第に工場の立地も始まり、これも胸をなで下ろしました。
(2014年10月25日号掲載)

=写真=千曲川流域下水道上流処理場用地調印式の後、地権者らと乾杯

 
塚田佐さん