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050 スイス・ツェルマット マッターホルン(中) ~最も人気の登山電車ルート

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 スイス・ツェルマットの駅から標高3130メートルの展望台まで、登山電車で40分。ゴルナーグラートは観光客に最も人気のあるルートだ。マッターホルンの美しい姿を正面に、左右に角度を変えて見られるポスターなど、多くの人になじみのある場所だろう。

 途中駅は、「逆さマッターホルン」や花畑を眺められるリッフェルアルプやリッフェルベルグ、そしてローテンボーデンなど、健脚組ならずとも一度は歩いてみたいコースがめじろ押し。1コース1時間から2時間程度だから、ツアー客がここをトレッキングするのもうなずける。日本人はおおむね下りコースを取るが、ヨーロッパの人々が上りを楽しむのは国民性なのか。

 終点のゴルナーグラートには、銀色のドームで知られるホテル兼レストランがあり、この建物を近景に、背後にマッターホルンというショットが定番だ。ここからゴルナー氷河をはじめ、4千メートル級のリスカム山、カストール山の白きたおやかな峰々が連なるのも見える。

 初めてここに来たのは7年前。北欧から来た老夫婦がここで転倒した。奥さんが痛そうだ。あっけにとられていた周囲の人たちをよそ目に、私たちの同行者が救いの手を差し伸べた。雪解けで汚れた泥を払い、ハンカチで服や手を拭ってやると、夫婦は感激。一緒にレストランで休憩して記念写真と相成った。日本人の優しさが伝わったようで何度もお礼の言葉があり、草の根の交流になった。

 ゴルナーグラートからの帰りは、次のローテンボーデンからリッフェルベルグまでの1駅を1時間だけ歩いた。
 リッフェル湖で見えるはずの「逆さマッターホルン」が、天気が悪くて見えなかったのは残念だったが、7月とあって、アルペンローゼなど高山植物は咲いていた。何組もの外国人ハイカーともすれ違ったり、記念写真を撮り合ったり。

 山岳用語にはドイツ語が多い。ゴルナーグラートの「グラート」のように、北アルプスの涸沢から奥穂高岳へ向かうルートに「ザイテングラート」がある。グラートは「稜線」といった意味があり、ザイテングラートは「支稜」のことだ。朝焼けのモルゲンロート、円形の虹のブロッケン現象などもそうだ。
 ともかく、てっとり早くマッターホルンを間近に見て、アルプスの景観を肌で楽しむのにはこのコースは欠かせない。  
(2014年10月18日掲載)

写真:銀色のドームとゴルナーグラートからの眺望

 
ヨーロッパ美の旅