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39 金峰山 ~山頂直下に五丈岩が鎮座~

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 9月中旬の3連休の中日に、奥秩父の名峰・金峰山(2599メートル)に登った。長野・山梨県境に位置し、長野側は「きんぽうざん」、山梨側は「きんぷさん」と呼ぶ。山頂直下に、この山のシンボル、高さ約15メートルの五丈岩が鎮座している。

 山仲間3人で6時に長野を出発。上信越道佐久小諸ジャンクションから中部横断道に入る。佐久南インターで降り、国道141号を南下して川上村へ。佐久方面の山に行くには、中部横断道が少し開通しただけでも随分便利になった。

 レタス畑が広がる村内を東へ進み、8時半に廻り目平に到着。キャンプ場脇の有料駐車場に車を止めようとして驚いた。凹凸の悪路の両側に車がびっしり。何とか1台分のスペースを見つけ、9時前に歩き始めた。

 ここからは、きれいな渓流に沿って1時間ほど林道を歩く。林道の終点が登山口だ。小休止の後、本格的な上りに入る。一汗かいて、水場の沢で水を飲もうとしたら、突然、目の前に真っ黒な動物が現われた。一瞬、熊だ!とたじろいだが、よく見ると黒い猟犬。

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 間もなくプロパンガスのボンベを背負ったおじさんが下ってきて、笑いながら「大丈夫。しつけてあるから」。とはいえ、こちらは以前、中央アルプスで熊に遭遇し、トラウマになっていることから肝を冷やした。

 さらに、うっそうとした針葉樹林の中を進む。中間点付近になると、シャクナゲの高木が目を引く。樹林の切れ間から遠く五丈岩を望む地点を過ぎ、大きな岩を二つ巻くようにして登り詰めると、金峰山小屋が現われた。大きな岩の上にケルンが積まれている。

 この辺が森林限界で、その先は頂上まで岩だらけ。あえぎながら登り切ると、いきなり山頂部に出た。だが、登山者が大勢いて、写真を撮るのもやっと。360度の景色を楽しむ余裕はなく、少し下ったところで昼食にする。

 目の前の五丈岩にかけ、200人ぐらいはいようか。首都圏から近い「日本百名山」の一つとあって、大変な人気だ。

 巨大な岩の上には、若者が幾人も登っている。中には、登ったはいいが、降りられなくて困っている山ガールスタイルの女性も。仲間の一人が登ろうとしたが、体が持ち上がらず断念。やはり中高年には無理なようだ。

 帰路は同じ道を黙々と下る。途中、キノコを幾つも見かけたが、食べられるかどうか分からないため採らずじまい。上りに3時間半かかったコースを、2時間半で下る。あれほど混んでいた駐車場は、車が少なくなっていた。
(2014年10月11日号掲載)

=写真=大勢の登山者でにぎわう五丈岩前の広場

 
中高年の山ある記