子どもはよく熱を出します。そのほとんどはウイルスや細菌などによる感染症です。感染する場所は呼吸器、ぼうこうや腎臓などの泌尿器、胃腸などがほとんどです。しかし、熱を出した子どもを診察する時、小児科医がいつも気を付けている病気があります。それが「川崎病」です。
日本では年々増加
川崎病は、1967年に川崎富作医師が報告した病気です。原因は不明ですが、何らかのきっかけで全身の血管に炎症を起こします。
日本人を含むアジア人に多いのが特徴で、日本では患者数が年々増加しています。2012年には1万3917人と過去最多でした。男女とも月齢9~11カ月の子に最も多く見られます。
原因不明の病気のため、1つの検査結果だけで診断を確定することはできません。症状が診断の根拠になります。
その症状とは(1)発熱(2)両側眼球結膜の充血(3)口唇の発赤・イチゴ舌()4不定形発疹(5)手足の硬性浮腫・発赤(6)痛みを伴う頸部リンパ節腫脹―の6つです。このうち5つの症状がそろっているか、4つの症状に加えて冠動脈瘤がある場合に川崎病と診断します。3歳くらいまでの子はBCG接種をした所が赤くなることもあります。
ただし、これらの症状は一度にそろって出るものではなく、まず熱が出て、その後3~5日かけて、徐々に症状が増えていくのが一般的です。小児科を受診した時点では熱以外の症状がなく、診断できないこともあります。その場合は、血液検査や心電図、レントゲンなどの検査を行い、場合によっては入院してもらい、熱以外の症状が出ないか観察します。
後遺症残る場合も
きちんと治療を行うと、ほとんどの場合は合併症なく治癒しますが、中には合併症が起きたり、後遺症が残ったりする場合があります。
代表的な川崎病の後遺症は冠動脈瘤です。冠動脈は心臓の周りにある血管で、心臓自体に血液や酸素を運ぶ大切な血管です。この血管に炎症が起きると冠動脈は袋状に大きくなり、こぶを作ります。こぶの中でできた血栓が血管に詰まると、心筋の障害を引き起こし、命に関わることもあります。

熱があり、目が赤い、首を動かさないなどの症状がある時は、早めに小児科を受診してください。
(2014年11月22日号掲載)
=写真=内海雅史(小児科医師=専門は小児科一般)