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28地震の前兆 ~木が折れ 鶏が鳴き続ける

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 地震には前兆がある。大地震のあった前日、お城より退出する時、空を見上げると、太陽の下に5色の一の字が見えた。誰もがこれを見たが、その理由が分からなかった。これは長雨の兆しかと思ったが、まさか地震の兆しとは知らなかった。
 また、前年の秋の大風で表御居間のみどり松が折れた。これは大鋒公の御銘木であると、「九扈亭(きゅうこてい)記」にもあるように、御代々の殿様が特別に御秘蔵していたもので、この木が折れたことはいかにも心がかりであった。これも前兆と思われるのである。

 3月19日に石川山が何となく抜け落ちたのも「発出」の気があったからと思われる。それから、日影、鬼無里辺りで前年の冬ごろよりトントンと鳴音がしたという。
 地震があった3日前ごろから、鳥や雀の鳴き声を聞かず、鶏は時を定めずに鳴き続け「とき」を作っていた。妻がそれに気づいていた。

 新町の塩野入久右衛門(善光寺で焼死)が紺屋町の政吉のところへ来て語ったことによると―
 2月ごろより水内橋が鳴動するといううわさがあった。初めのうちは何事をいうやと言っていたが、次第にそれが本当のことといわれるようになった。あとはもう、昼夜の区別なく鳴き声が聞こえるようになった。

 村の者たちは「これは貉(むじな)が悪さをして人を驚かすのではないか」と言って、橋の近辺や谷々をくまなく探したが、小貉の一匹も取ることができなかった。
 どうしてこの橋が鳴動するのか、納得がいかないことだといわれた。

 (2014年12月13日掲載)
 
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