脳梗塞は、脳の血管が詰まって手足のまひや感覚障害などの症状が出る病気です。その発症には生活習慣が深く関わっています。
日本脳卒中協会は「脳卒中予防十カ条」をつくり、危険因子である高血圧、糖尿病、不整脈(心房細動)、喫煙、過度の飲酒、脂質異常症などに注意を促しています。
脳梗塞を予防するために特に重要な危険因子を紹介しましょう。
高血圧
高血圧は、血圧値が自宅で平均135/85mmHg以上、または診察室で同140/90mmHg以上の場合に診断されます。
自宅で血圧を測る時のポイントは▽上腕(二の腕)で測る▽起床後1時間以内で排尿後、朝食や服薬の前に、座って1~2分安静にしてから2回測り、平均値を記録する▽できれば朝と就寝前の2回計測する―などです。
朝に血圧の高い人や、朝と夜の血圧差が大きい人は、脳梗塞の危険性が高いことが知られています。運動や減塩を心掛け、薬をきちんと飲み続けることが大切です。
糖尿病
糖尿病は血糖値が異常に高くなる病気で、空腹時血糖が126mg/dl以上、随時血糖が200mg/dl以上、またはHbA1c値が6.5%以上の場合に、糖尿病と診断されます。
放置すると、脳卒中になる危険性が6倍に高まります。きちんと治療を受けて、HbA1cを6.5%以下に保つことが大切です。
不整脈
脳梗塞の中には、心房細動という不整脈によってできた血栓が脳血管へ流れていき、血管を詰まらせるものがあります。心房細動のある人は、ない人の3~5倍脳梗塞になりやすいので、不整脈に気付いたら、すぐに内科を受診してください。
その他
喫煙は脳梗塞やくも膜下出血の発症リスクを、2~3倍に高めます。脳卒中発症率は2年間禁煙すると低下し、5年後には非喫煙者と同レベルになります。たばこを吸う人はできるだけ早く禁煙してください。
脳梗塞の再発を防ぐには生涯、薬を飲まなければなりませんが、患者の5人に1人が自己判断で通院を中止し、4人に1人が勝手に薬を飲むことをやめてしまうという調査結果があります。脳梗塞の発症や再発を防ぐためには、かかりつけ医を持ち、継続的に薬を飲みながら、危険因子をコントロールすることが最も重要です。
脳卒中予防十カ条
①手始めに 高血圧から 治しましょう
②糖尿病 放っておいたら 悔い残る
③不整脈 見つかり次第 すぐ受診
④予防には タバコをやめる 意志を持て
⑤アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
⑥高すぎる コレステロールも 見逃すな
⑦お食事の 塩分・脂肪 控えめに
⑧体力に 合った運動 続けよう
⑨万病の 引き金になる 太りすぎ
⑩脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
(2014年12月20日号掲載)

草野 義和(脳血管内治療科部長・脳神経外科科長=専門は脳血管障害、脳血管内治療、脳神経外科)