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058 グリンデルワルト周辺 アパート滞在 ~経営者らと交流の楽しさ~

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 スイスの物価が高いことは世界的に知られている。ツアーが高額になることは覚悟しなければならない。けれども、リッチでない私が比較的格安で滞在する方法がある。

 14年前に初めて利用したのは、民間アパート。グリンデルワルトの少し奥まった清潔な1室を借りた。アンドレさん夫妻が経営する「アーベント・ロート」。夕焼けという意味のアパートだ=写真上。

 大概のアパートは1週間単位の契約である。3年前にも、ここを利用した。バルコニー付きは1室1日1万6千円程度。私たちはバルコニーのない安い方を利用する。

 駅から歩いて15分ほど。重い荷物を押していくので、少々難儀だが、徒歩1、2分のところに手ごろな値段のスーパーがあり、不便ではない。部屋にはオール電化のキッチンと鍋皿が備え付けで、小型冷蔵庫もある。浴槽とツインベッドに、小さいながらも飲食ができるテーブルもある。

 ここを私が気に入ったのは、何といってもスタッフの人柄が良いからだ。最初は高山植物を乱獲した日本人ツアー客に対して不信感を持っていたアンドレさん夫婦も、今では私にとって気の置けない友人。若いムリエル嬢も気配りが素晴らしい。彼女は夫妻の娘の友人で、故郷のチューリッヒからスノーボードをするために訪れて以来、スタッフとして残った。

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 3年前にムリエルさんが世話をしてくれた時、大いに気を使ってくれた。彼女には村で働く日本人の友人もいるため、私たちの帰国後も「紅葉の時季だ」「スキーシーズンだ」と、写真集やカレンダーを送ってくれた。かつて私が世話になったALT(外国語指導助手)をほうふつとさせる風貌で、親近感もわく。笑う時は「ワッハッハ」と豪快だ。

 今回の訪問は彼女には内緒だった。日程の都合でホテル生活だったので、ある朝、事務所に行き、下を向いて仕事を続ける彼女の机の上に、彼女の3年前の写真をそっと置いた。気付いた彼女は満面の笑みだ。奥さんのバーバラさんも現れた。

 彼女に京模様の眼鏡ケース、奥さんにスカーフのお土産を渡し、再会を喜んだ。「お返しに」と、奥さんはスイス国旗をあしらった大型高級ホワイトチョコを、ムリエルさんは牛をデザインしたメモ立てをプレゼントしてくれた。美しい風景もいいが、こんな人との交流は至上の喜びだ。 
(2015年2月7日号掲載)

=写真2=ムリエルさん(左)とバーバラさん
 
ヨーロッパ美の旅