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06 戸隠、未来へ ~信仰に基づく街並み 保存へ~

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 式年大祭を行っている戸隠神社。中社には6年ぶりに宝光社の祭神が並び祭られ、全国から多くの参拝者が訪れている。5月24日(日)の「還御の儀」で祭神が宝光社に戻り、大祭は26日(火)に終わる。大祭の後、神社は奥社の参道整備に着手する。

 奥社参道は約2キロ。入り口から続く広く平たんな道は、中ごろの随神門から両側の杉並木に挟まれるように細くなって傾斜を増し、残り4分の1ほどは不ぞろいな石段に足を掛けて上る急坂になる。足腰の強い人でも息が上がる。

 改修では、自然石を使いながら段差を小さくし、手すりを設けて歩きやすくする。雪が降るころまでに終える予定だ。

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 中社、宝光社の両地区では、「伝統的建造物群保存地区(伝建)」の制度を活用し、神社と宿坊を中心とする伝統的な街並みを保存する動きも進んでいる。

 同制度は、住民の合意を基に市町村が保存計画を策定。街並みを守るための家屋の修理などに国の補助金が交付され、地区全体の景観向上を目指す。県内では、南木曽町の妻籠宿や千曲市稲荷山の商家町などが伝建地区になっている。

 長野市は地元の要望を受け、昨年度から調査を実施。宿坊や周辺民家の建物、石垣や水路などを調べ、保存するべき両地区の特性を洗い出している。6月に調査を終えて報告書をまとめ、9月以降、住民説明会を複数回開いて住民の意思を確認する。合意ができれば来年度以降に保存条例をつくる。

 調査に当たる市教育委員会文化財課の塚原秀之さん(32)は「両地区では、宿坊だけでなく民家や街並みにも、戸隠信仰があったからこその形が残されている。伝建制度で戸隠の魅力を高めていければいい」と話す。

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 戸隠神社宮司の藤井茂信さん(78)は「街並みの魅力を味わうために戸隠に来る人も増える。ありがたいこと。しかしそのためにも、神社がしっかりしていなければ」。神社を支える講員が減っていることについて「頭が痛い問題。今後は講ではない崇敬会組織もつくっていく必要がある」と言う。

 一方で、将来には希望も持っている。「今の若い人はしっかりしていて、これから戸隠を支える存在になってくれる。鳥居をくぐるときにきちんとお辞儀をしている姿を見ると、『ああ、(戸隠神社の未来は)大丈夫だな』と思いますね」
(おわり)

=写真=「渡御の儀」で、みこしを担ぐ戸隠の男たち(5月6日)