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061 グリンデルワルト周辺 エーデルワイス ~岩陰に「高貴な白」がそそと~

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 野生のエーデルワイスが見たければ、このコースがお薦めだ。ここへのアクセスとなるゴンドラが向かう頂上駅は、発音しにくい。プフィングシュテックともフィングシュテックとも。スペルは「pfingstegg」だ。ガイドブックにはどちらも使われている。

 5分の乗車で着くその駅には、谷にレストランがある。毎回、ここのトイレを見るたびに「クスッ」となってしまう。入り口に男性、女性が用をたす姿を描いた漫画があり、それがユーモラスだ。

 レストラン裏手にある開けた展望台(標高1387メートル)から見るグリンデルワルトの村の眺望は、間違いなく指折りだ。「氷河の村」とか「天国の次に美しい村」という形容詞が、誇張ではないと思える。

 ここから下氷河への道はトレッキングではなく、山登りである。健脚組はスイスイと先に進んでいく。私は一人部屋同士の仲間と、ゆっくり最後尾についた。理由は明快だ。野生のエーデルワイスを発見するためである。

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 このルートは熟知している。「この辺りにありそうだ」と知らせつつ、やがて左右の陰の4、5カ所に咲き誇っているのを見つけた=写真上。先発隊はやはり「一つもなかった」と無念そうだった。

 2時間かけて、下氷河へのシューティレック小屋を目指した。テラス状に張り出たレストランで、みんなは名物のスープやヴルスト(ソーセージ)。私はホットミルクにした。ウエートレスと会話をしながら、以前訪れたもう一つの小屋が全焼したという話を聞き、私は顔をしかめた。

 小屋の裏手にも、エーデルワイスの群生地があると聞いて駆け付けた。急勾配の岩場に張り付いた「高貴なる白」の意味のエーデルワイスが咲き誇り、楽しませてくれた。

 ヒュッテ近くで放牧されたヒツジを横目に、下りに入る。あらためて道中の岩陰に咲くエーデルワイスを紹介すると、仲間たちはこぞってカメラを向けている。帰国後、同行者の1人から「そそと咲く野生のエーデルワイスに出合えて幸せでした」と記したはがきが届いた。 
(2015年5月2日号掲載)

=写真2=下氷河への道
 
ヨーロッパ美の旅