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85 地元は「ぞうざん」 ~事実に基づけばいい~

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 週刊長野の読者、安茂里在住の80代男性から、象山の呼称について、「ぞうざん」か「しょうざん」か―という問い合わせがあった。昔から論議が尽きないが、現段階での見解をまとめてみたい。

 「象山(しょうざん)の雅号に決着を」(龍鳳書房、2003年)。著者は高校の国語教師で、住職であった山口義孝さん(故人)。同書で「ぞうざんと呼ぶのは俗称。正式にはしょうざん」と主張する。

 「しょうざん派(以下、し派)」は結構多い。京都や東京方面では圧倒的に「し派」だ。信大工学部の元教授、高橋宏さん(81)も「し派」。長野郷土史研究会機関誌「長野」で様々な角度から資料を提供、話題になった。

 県立長野図書館の元館長、太田今朝秋さん(92)は「ぞうざん派(以下、ぞ派)」。昨年、横須賀市で開かれた県人会に招待され、信濃の国を合唱。その後次のような話をした。

 1968(昭和43)年、県歌選定委員会で「ぞうざん」ではなく「しょうざん」が正しいのではないか―という質疑が出た。そこで、出生地、山の名、象山神社、象山記念館など、「象山」と書く固有名詞は全て「ぞうざん」と読んでいる。今さら「しょうざん」と変更するのは困難―と見解を示した。

 漢学者の宮崎真さん(92)は「ぞ派」。宮崎さんはかつて「し派」の急先鋒(せんぽう)、前出の山口さんとも論争した。宮崎さんは茅野市出身の教育学者で、元広島文理科大学学長の長田新(おさだあらた)(1887~1961年)から直接聞いたという次の話を披露した。

 「長田」は「ながた」が正式な読み。ところが、周囲の人たちは「おさだ、おさだ」と呼ぶので、結局、「おさだ」のままにした。象山本人は京や江戸では「しょうざん」と名乗ったかもしれない。事実に基づいて呼べばいいのであって、「いい」「わるい」の問題ではない。
(2015年6月13日号掲載)

=写真=馬上の象山(象山神社)
 
象山余聞