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45 茂来山 ~皇太子さまも登った名峰~

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 カルチャースクール里山講座の会員たちと8月下旬の土曜日、「佐久の名峰」といわれる茂来山(もらいさん)(1717メートル)に登った。佐久平から南方に三角形の優美な姿を見せるこの山は、山好きの皇太子さまが登った山でもある。

 7時に長野駅前を中型バスで出発。上信越道で佐久小諸ジャンクションから中部横断道へ。佐久南インターから国道141号を南下し、佐久穂町から十石峠方面へ向かう。

 茂来山には霧久保沢と槙沢(まきさわ)の二つのコースがある。この日は槙沢から登り、霧久保沢を下った。

 バスはでこぼこの狭い林道を登山口まで走り、9時過ぎに歩き始める。槙沢の渓流に沿って明るい樹林が続く。沢が分岐する二股から急斜面をジグザグに登っていくと、小広い尾根の鞍部(あんぶ)に達する。

 大人が3、4人がかりで抱えられるような「栗の古木」がどっしりとそびえ、周囲のシラカバ林が美しい。

 その先は木の枝をつかんで登るような岩場だ。林がブナに変わるころ、霧久保沢からの登山道と合流。ここから頂上は間もない。

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 一気に登り詰めると、ぱっと視界が開ける。残念ながら、目前の八ケ岳と北方の浅間山は雲に隠れていたが、「日本百名山」の瑞牆山(みずがきやま)や金峰山(きんぽうさん)が望め、眼下には佐久平や野辺山の高原野菜畑が広がる。

 山頂にある新旧二つの祠(ほこら)の脇には、昭和57年8月20日付の「浩宮様茂来山登山記念」の碑も。周辺には濃いピンクのカワラナデシコが咲いていた。

 頂上直下の広い草地で昼食を取り、12時に下山を開始。分岐から霧久保沢に入ると、石ゴロの急な下りとなる。北側斜面で滑りやすいため、足を取られないよう難儀する。

 ここを過ぎると、トチの巨木が現れる。さらに下ると、林野庁が全国の国有林の中から選定した「森の巨人たち百選」の「茂来山のコブ太郎」がそびえている=写真下。やはりトチの巨木で、樹齢250年、樹高22メートル。見学用の木製ステージが用意されている。

 シダの多い沢に沿って下り、小さな木の橋に差し掛かったところで、先頭を行く講師のNさんが叫んだ。「危ない! ハチだ」。続いて女性たちから悲鳴が上がり、次々と4人が腕や足を刺された。

 見ると、橋の下に巣があるようだ。5ミリほどの小さなハチが群れをなし、威嚇するように飛び回っている。やむなく橋を避け、沢を渡って事なきを得た。

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 やっと下山口に出ると、今度は待っているはずのバスがいない。仕方なく2キロほど歩くと、バスが待っていた。林道の途中に木の枝が垂れ下がっていて進めなかったという。

 バスまで歩く間に、路上で干上がったマムシとみられるヘビの死骸を見かけるなど、後半はハプニング続きの山行だった。
(2015年9月5日号掲載)

=写真=祠や記念碑が並ぶ山頂部

 
中高年の山ある記