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073 ロワール古城巡り ヴィランドリー城 ~幾何学模様の美しい庭園~

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 城そのものの優雅さではシュノンソー、一目ぼれさせるのはシャンボール。これに対してヴィランドリー城は、何と言っても庭園の美しさだ。フランスのどこを探しても、これほどの庭はないだろう。

 おとぎ話に登場しそうな幾何学模様の庭園だ。イタリアの修道院をモチーフに、16世紀にフランス庭園のスタイルを開花させた。

 この城は、もともとフランソワ1世の国務卿だったジャン・ル・ブルトンによって、16世紀前半に建てられた。彼はイタリア大使を務めていたこともあり、基盤になったルネサンスの造園技術を身に付けていた。

 1906年に、今のような庭園に改造させたのは、スペイン出身の医師、ジョアキム・カルバロ。現在の同城所有者の祖先である。カルバロはルネサンス様式を取り入れつつ、眺望に合わせてフランス式に改めた。

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 大きな特徴は、テーマ別に3層でできていることだ。最上層の「水の空間」は大きな池を主役にくつろぎの空間である。

 中段は「装飾樹木庭園」。愛と音楽をモチーフにツゲをふんだんに配している。小さな炎で包まれたようなハート形の「優しい愛」。そして「熱烈な愛」「移り気な愛」も。愛のライバル同士の決闘に使われる短刀と矛を表現した「悲劇的な愛」。季節には、決闘によって生じる血をイメージした真っ赤なバラが咲く。

 最下段は「シンプル庭園」と「菜園庭園」。庭園で造る迷路もある。十字架をかたどった菜園には、実際に食材として使われるカボチャなどの野菜が花と一緒に栽培されている。野菜を飾る庭園を造るという感覚は、あまりなじみがないので新鮮だ。これらの野菜は城内のレストランで提供されている。

 ヴィランドリーは人口1千人。パリから南西に260キロ、トゥールから15キロだ。交通はやや不便だが、毎年25万本の花や野菜の苗がこの庭園に移植される。

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 数あるロワール渓谷の古城の中でも、最も新しいと言われる城だが、強烈なインパクトがある。特に城の入り口左手の裏にあるテラスから見る全景は壮観だ。同行者の「生きているうちに見ることができて良かった」という言葉に実感がこもっていた。
(2016年1月23日号掲載)
(「ロワール古城巡り」はおわり)

=写真1=庭園が美しいヴィランドリー城
=写真2=幾何学模様の美しさ
 
ヨーロッパ美の旅