088 健康食品 ~薬と違うことに注意 生活習慣改善へ利用~

 わが国における食品は、機能性の表示が認められている「保健機能食品」と表示ができない「一般食品」に分類されます。
 つまり、テレビや雑誌などでよく目にするサプリメントに代表される「健康食品」には、法律上の明確な基準がないのが現状です。健康食品を摂取すれば症状が治ると感じる人も多いと思いますが、治療に使用される医薬品とは違うことに注意する必要があります。

保健機能食品
 食品のうち、国が機能性表示を認めているものを「保健機能食品」といいます。保健機能食品は、国が定める有効性や安全性の基準を満たした食品で、「特定保健用食品(通称トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」があります。

 特定保健用食品は、国による審査を経た食品で、客観的評価によって有効性や安全性が認められている食品です。栄養機能食品は、国への届け出や審査は不要ですが、ビタミン12種とミネラル5種について、決められた基準を満たすことでその表示を付けることが認められた食品です。

 機能性表示食品は、2015年4月から始まったもので、事業者の責任で科学的根拠を基に、商品パッケージに機能性を表示することが認められた食品です。

普段の食生活が大事
 健康食品は、あくまで足りない栄養素を補うものであり、「摂取していれば大丈夫」と思ってよいものではありません。健康な体をつくるためには、健康食品に頼るのではなく、まずは普段の食生活を見直すことが大切です。自分に足りない栄養素を把握せずに健康食品の摂取を続けると、栄養バランスが偏り、過剰な摂取により体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準」で1日に必要なエネルギー量や栄養素の摂取基準を設定しています。これを参考に食生活のバランスを見直してみましょう。また、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」を利用することで、食事の望ましい組み合わせとおおよその摂取量が理解できると思います。

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 健康食品の上手な使い方は、それを利用することで、食生活や生活習慣が改善の方向へ動き出すことです。安全で安心な食品からバランスの良い栄養摂取をすることを日頃から心掛け、健康食品だけに頼らない生活習慣をつけることが大切です。
(2016年1月23日号掲載)

=写真=小林  宏正(診療技術部 臨床検査科主任=臨床検査技師、健康食品管理士)

 
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