サルコペニアは「筋肉の減少」を示す造語で、筋肉量が減少し、筋力、身体機能が低下した状態をいいます。原因は加齢や病気、栄養不足、運動不足などで、複数の要因によることが多くあります。
サルコペニアを予防するために運動をするのは間違っていませんが、栄養不足の状態で運動を行うと、かえって筋肉を減らしてしまいます。そのため、栄養不足を改善するバランスの良い食事が大切です。
組み合わせと調理法
サルコペニアを予防する栄養摂取法を紹介しましょう。
バランスの良い食事のためには、主食、主菜、副菜を組み合わせることが大切です。
主食はご飯やパン、麺類などで、炭水化物を含み、エネルギーの主な供給源となります。
主菜は、肉や魚、卵、大豆製品などを使った料理で、タンパク質を含み、血液や筋肉など体を作る栄養です。副菜は、野菜、きのこ類、海藻類を使った料理で、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを含み、体の調子を整える働きがあります。これら栄養の異なる主食、主菜、副菜を組み合わせることで、さまざまな栄養をバランスよく摂取できます。
調理法も大切です。炒め物や揚げ物に偏ると脂質が多くなり、摂取カロリーが高くなります。焼き物や煮物などを組み合わせ、調理法が偏らないようにしましょう。
果物や乳製品は、主食、主菜、副菜だけでは不足しがちなビタミンや、カルシウムなどのミネラルを含むため、1日1回程度摂取すると良いでしょう。
加齢や病気で食欲が低下し、栄養が十分に摂(と)れない場合に、食べやすいのが牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品です。
筋肉を作る乳製品
乳製品のタンパク質には、筋肉の合成を促す栄養素「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」が含まれています。運動後に食べると、より筋肉を合成しやすくなります。栄養不足の人や、運動後に筋肉の合成を促すために、乳製品を摂取してみてはいかがでしょうか。

サルコペニアは転倒や骨折の原因になり、高齢になると、寝たきりになる可能性が高くなります。若い人でも、ダイエットのための偏った食事が栄養不足を引き起こし、筋肉量や筋力を低下させることがあります。適度な運動とバランスの良い食事でサルコペニアを予防して、元気で楽しい生活を送りましょう。
(2016年3月12日号掲載)
=写真=山田 明子(診療技術部 栄養科 管理栄養士)