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49 大林山 ~銀世界の中に春の気配が~

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 春本番を待ちきれず好天を見計らって3月3日、山仲間3人で今季初の登山に出掛けた。目指したのは、千曲市・上田市・筑北村境にある大林山(おおばやしやま=1333メートル)だ。

 8時に長野市を車で出発。上信越道を更埴インターで降り、千曲川の万葉橋を渡って上山田へ。四十八曲峠へ向かう県道の坂上トンネル入り口に車を止め、9時15分に歩き始める。

 ぽかぽか陽気に誘われ、明るい春の里山を期待していたが、2、3日前に降った雪で一面の銀世界。うっそうとした杉林の中を進み、ガードロープをまたいで旧県道を100メートルほど歩くと、登山口だ。

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 カラマツやヒノキの林の急斜面を登る。途中、雪の中にカモシカとみられる足跡を見かけた。八頭山との分岐に出ると、案内標識に「ぽんぽんの平」とある。意味は不明だが、少し平らになっている。

 ここからは、ゆったりとした尾根上の道を進む。右手の筑北村側には有刺鉄線が張られている。マツタケの留め山なのだろうが、劣化してボロボロになったビニールテープが痛々しい。

 間もなく、左手から上がってくる岩井堂山からのコースと合流する。雪面に踏み跡はなく、こちら側からは誰も登ってきていないようだ。

 ここを過ぎると、登山道は西から南、さらに東側へ大きくう回する。日陰に入ると雪が多くなり、踏み跡をたどりながら歩を進める。それでも斜面の雑木林では、根元の周りの雪が解ける根開けが始まっており、春の気配を感じさせる=写真下。

 南側へ回り込むと雪は解け、枯れ葉の上を歩く。太陽が当たる斜面と、当たらない斜面では山の様相が一変するのも、この時季の山だ。再び稜線に出て登りきると、広い山頂に出た。

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 登山者はわれわれだけ。好天、無風の雪の上で昼食を取りながら、周囲の眺望を楽しむ。姨捨山(冠着山)が目の前に位置し、北東に善光寺平や北信五岳が望める。

 北西には麻績の集落の向こうに北アルプスが連なる。東には根子岳や四阿山が真っ白な姿を見せ、東南には塩田平近辺の山々が見える。この時季は木の葉が落ちているので、樹間越しに見通しが利く。

 山頂には祠の姿をした記帳箱がある。中からノートを取り出し、記入しようとして驚いた。直前に書いた人は、上田市側の麓の男性で、何と「83歳」とある。2月25日に雪の中を1人で登ってきたようだ。「また登りたい」と書かれていた。

 帰路は同じ道をたどり、昨年10月末に新装オープンした戸倉の「白鳥園」に立ち寄った。露天風呂から大林山を仰ぎ、汗を流して帰宅した。
(2016年3月19日号掲載)

=写真=山頂から望む善光寺平と飯縄山
 
中高年の山ある記