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50 鍋倉高原 ~新雪踏み「けつぞり」に歓声~

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 快晴に恵まれた彼岸過ぎの土曜日、カルチャー教室「里山を歩こう」の会員たちと飯山市の鍋倉高原へスノーシューに出掛けた。

 7時に長野駅前を中型バスで出発。上信越道を豊田飯山インターで降り、「なべくら高原森の家」へ向かう。例年にない少雪だが、市街地にはなかった雪も次第に増えていく。

 森の家でレンタルのスノーシュー(半日1500円)とポール(1日500円)を借りる。ガイドさんからコースの説明を聞き、スノーシューを履く。ほとんどが初体験のため、装着に手間取る。

 9時前にスタートし、最初は足慣らしに圧雪された道路を歩く。スリッパのように、かかとから後ろを引きずるようにすると楽だ。

 300メートルほど先で、広々とした雪原に入る。雪の下は畑だという。前日降った40センチほどの新雪で、一面真っ白。ガイドさんがラッセルした跡を、全員が列になってたどる。

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 時折、新雪に踏み入ってみるが、疲れるので再び踏み跡に戻る。一度に20人以上が歩くと、後ろの方ほど歩きやすくなる。風もなく、背中に照りつける日差しが暑い。サングラスを掛けていても、雪面に反射した光がまぶしいほどだ。

 雑木林に入ると、雪の上に動物の足跡が点々と続く。形状や大きさなどから、タヌキ、ウサギ、カモシカのようだ。日当たりの良い場所では、春一番に咲くマンサクの花が散りかかり、真っ白な花が開くタムシバのつぼみが膨らんでいた。

 さらに登ると、林はブナとナラだけになり、ナラはすべて立ち枯れている。木の中に虫が入り込んで病原菌を繁殖させるナラ枯れ病にやられたという。青空を突き刺すように枯れ木が立つ姿は痛々しい。その上部は見事なブナ林となり、根の周りの雪が沈んでいる。間もなく根明けが始まる兆候のようだ。

 高台にある「S字カーブ」と呼ばれる県道上で昼食にする。西側に鍋倉山が間近に見え、向こうには斑尾山や高社山がそびえる。南には野沢温泉の毛無山、東には巻機山(まきはたやま)など新潟や群馬の山並みも見渡せる。上部の牧峠まで行けば、日本海も見えるという。

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 下りはコースを外れ、飯山の子どもたちの冬の遊び「けつぞり」を楽しむ=写真下。尻の下にビニール製の肥料袋を敷き、10メートル前後の畑の土手を一気に滑り降りる。最後は勢い余って雪まみれになるが、実に楽しい。皆童心に帰り、滑り降りるたびに歓声が上がった。

 長い土手を4回滑り、少し歩くと森の家に到着。帰路は千曲川べりの湯滝温泉に立ち寄り、とうとうと流れる川面を見下ろしながら、露天風呂で汗を流した。
(2016年4月9日号掲載)

=写真1=雪原の中を鍋倉山に向かって歩く参加者
 
中高年の山ある記