093 乳がん ~急増する罹患者数 定期的な受診が重要~

日本の女性の12人に1人が乳がんにかかるといわれ、年間約6万人が乳がんと診断されています。罹患者数は急増し、亡くなる人も年々増加しています。乳がんにかかりやすい年齢は40歳から60歳ぐらいです。

 乳房は、母乳をつくる乳腺と、乳汁を運ぶ乳管、それらを支える脂肪などからなっています。乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管状の構造でつながっています。乳がんの約90%が乳管から、残りの約5~10%が小葉から発生します。

 多くの乳がんの発生には、女性ホルモン(エストロゲン)が関与しています。妊娠・授乳中にはエストロゲン分泌が抑えられますが、現代の女性は出産回数が少なく、初潮の年齢が早まっているため月経回数が多くなり、エストロゲンの生涯の分泌量は増える傾向にあります。経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法、飲酒習慣や喫煙でも乳がんのリスクは高くなります。

 早期発見で助かる
 乳がんは、早い段階で見つかれば命が助かるがんの一つです。ただ、初期には痛みや体調の悪化などの症状がほとんどないため、早期にがんを見つけるために、定期的な検診の受診が重要です。

 長野県の乳がん検診の受診率は、38・4%(2013年国民生活基礎調査)にとどまっています。「乳がん検診を受けるのが怖い」との声を聞くこともあります。

 しかし、乳がん検診で異常を指摘された人の全てが乳がんと診断されるわけではありません。検診の結果、精密検査が必要となるのは約5~10%、乳がんと診断されるのは0.2~0.3%程度です。

 がんを放置して自分がつらい思いをしないように、また周りの人たちを悲しませないためにも、乳がん検診を受けましょう。もし不安で受診できない場合は、家族や友人に相談するのが第一歩です。

 自己検診も有効
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 乳がんは、自分で発見できる数少ないがんの一つでもあります。胃がんなどの内臓にできるがんと違って体の表面にできるので、自己検診が有効です。

 自己検診は、毎月定期的に行うことが大切です。生理終了後1週間目、閉経後の人は一定の日を決めて行ってください。
(2016年5月14日号掲載)

=写真=加藤  純子(看護部 第2外来看護師 乳がん看護認定看護師)

 
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