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53 烏帽子岳 湯ノ丸山 ~稜線から大展望を楽しむ~

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 6月下旬の土曜日、カルチャー教室里山講座の会員たちと、上田市・東御市境の烏帽子岳(2066メートル)に登り、群馬県境の湯ノ丸山(2101メートル)にも足を延ばした。

 烏帽子岳は上田盆地から、その名のように山頂部のとがった姿がよく見える。この時季の湯ノ丸山は、山腹を朱に染めるレンゲツツジの群落が見ものだ。

 前日までの天気予報で覚悟していた雨は朝までにやみ、何とか一日持ちこたえた。7時に長野駅前を中型バスで出発。上信越道を東部湯の丸インターで降り、登山口の地蔵峠へ向かう。

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 この道は嬬恋村の鹿沢温泉に通じる「湯道」と呼ばれ、沿道に道しるべの「百体観音」が置かれている。次々に現れる素朴な石仏が心を和ませてくれる。

 地蔵峠で身支度を整え、8時50分に出発。広く明るい林道を進むと、間もなく設備の整ったキャンプ場へ。その中を突っ切り、平たんな森林帯を歩く。

 右手に湯ノ丸山の中腹・つつじ平へ通じる中分岐を過ぎ、さらに歩くと稜線鞍部(りょうせんあんぶ)に。烏帽子岳と湯ノ丸山へのコースの分岐点で、まずは烏帽子岳へ向かう。

 森を抜けると、朱色が鮮やかなレンゲツツジのほかに、グンナイフウロ、ハクサンチドリ、ベニバナイチヤクソウなどの花が目に付く。高山植物が多いのも、この山の特長だ。

 ひと登りして稜線出合いに達すると、ぱっと広大な展望が開ける。上田盆地から丸子方面の依田川の谷筋、足元の旧東部町の向こうには御牧ケ原の台地が広がる。その中央を千曲川が流れる。北アルプスも望め、槍の穂先もくっきりと見えた。

 出合いから北に折れ、小烏帽子を過ぎると、人だかりがしている。見ると、近くにコマクサが3株。1株は珍しい白い花を付けている。周りを石で囲み、大切に保護している様子だ。

 山頂に着くと、さえぎるものがないため、風が強い。岩陰に隠れるようにして昼食を取っていると、「富士山が見える」との声。曇天でも東南に秀麗な姿を見ることができた。

 同じコースを稜線鞍部まで下り、湯ノ丸山へ登り返す。傾斜は急で、足元も石が多い。登り詰めると山頂だ。360度の眺望だが、風が強く吹き飛ばされそうなほどだ。 

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 長居は無用と、すぐ下りにかかる。レンゲツツジの群落地・つつじ平まで降りると、観光客が多くなる。残念ながら花は見頃を過ぎていた。 

 スキー場をペアリフトで上ってくる観光客の脇をジグザグに下る。ゲレンデは急で、つま先が痛い。駐車場のバスまで戻り、近くのホテルで入浴。帰路は群馬側へ下り、菅平越えで長野へ戻った。
(2016年7月9日号掲載)

=写真1=山頂から見下ろす上田盆地
=写真2=湯ノ丸山から見た烏帽子岳
 
中高年の山ある記