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16年7月 理解不能への「恐れ」 自然現象が生む妖怪

 夏はお化け、妖怪の季節です。日本に伝わる妖怪は3万を超えるともいわれ、「日本の妖怪百科」(河出書房新社)によると、天気に関係する妖怪も数多くいます。

 晴れている時に現れるのは「魃(ひでり)」。顔は人で、体は獣、手足は共に一本で、両目が頭のてっぺんにあり、風のように速く走ります。この妖怪が来ると、日照りになり、草木は枯れて、池が干上がり、国中に干ばつが起きるといわれています。

 雷が鳴ると現れるのが「雷獣(らいじゅう)」。雷を伴う発達した積乱雲が発生すると、この雲の中を駆け回り、雷と一緒に落ちてくるそうです。長野県では落ちてきたのは猫くらいの大きさで、毛は灰色だったと伝えられています。

 雪の降る日に現れるのは「雪女(ゆきおんな)」。白い着物姿をした女の妖怪で、長野県では「雪おんば」と呼ばれています。実は、これは気象現象の「サンピラー(太陽柱)」ではないかといわれているそうです。サンピラーは、厳しい寒さで空気中の水蒸気が凍ったところに、太陽の光が当たると、光の柱のように見える現象です。

 平穏な日々を願う中、気象などで理解不能な現象が起きたとき、人々の「恐れ」が「妖怪」を生んだとされています。

 科学が発達し、手軽に調べ物ができる現代社会には、どのくらいの妖怪が残っているのでしょうね。
(2016年7月30日号掲載)
 
松元梓の四季彩々