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086 プラハを巡る ~プラハ城 毎日正午に衛兵の交代式~

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 チェコの首都プラハを巡る時には、3つの核がある。その一つが、プラハ城。大統領府や宮殿、大聖堂が城壁で囲まれている、かつての王の居城だ。

 この前にあるフラッチャニ広場=写真下=は、就任間もないオバマ米大統領が2009年4月に、核廃絶構想を提唱した「プラハ宣言」をした広場である。オバマ氏のノーベル平和賞受賞につながっていく。

毎日正午に行われる衛兵の交代式にも人が集まる。英ロンドンのバッキンガム宮殿のような、厳粛さや派手さはないものの、壮麗な中にユーモアを感じさせてくれる。
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 入り口の2対の「戦う巨人たち」の前にいる2人の衛兵は、微動だにせず、大統領府を守る。しかし、その素顔は人間的だ。観光客が横に立って記念写真を撮る光景に、「これが好きで衛兵になった」と告白する元衛兵もいた。

 交代式は、離れた待機所から20人ほどが2列になって引率されてくる。第一の庭で交代の各14人が整列。2階から聞こえるファンファーレと共に、大統領旗を手渡す。

 私が訪れる少し前のことだ。この中にある大統領府の建物の一角に掲げられた大統領旗の代わりに、大きな赤いパンツが掲げられるという事件がニュースになった。

 私は、どの場所の旗か、個人でそれをやったのかを、警備していた兵士らに尋ねた。すると、笑みを浮かべながら右手頭上を指さし、「ほら、あそこ。グループの仕業だよ」と説明したが、意外にぴりぴりした感はない。

 警備兵の一人が「最近、大統領がロシアや中国などに接近していることへの皮肉らしい。これも自由の証しだ」と言うのには驚かされた。支配され続けた人々の率直な気持ちなのだろう。

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 城内の奥に黄金小路という一角がある。16世紀末にでき、観光名所になっている場所だ。城に仕える召し使いたちが住んだ所とあって、一軒一軒の内部はまさに「ウサギ小屋」。待機するガイドも「とても狭いだろ。2階のベッドも小さいのだよ」と説明した。かつてここは錬金術師らが住み込んだので、この小路の名が残る。

 22番の青い家は、チェコ生まれのユダヤ人作家、「変身」や「審判」などで知られる夭(よう)折の天才作家フランツ・カフカの仕事場だった。
(2016年9月24日号掲載)

=写真=多くの人が集まる衛兵の交代式
 
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