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56 蓼科山 ~岩累々の山頂 雨で断念も~

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 「山の日」の8月11日と8月最終土曜日の2度、北佐久郡立科町と茅野市境の蓼科山(2530メートル)に出掛けた。カルチャースクール里山講座の下見だった11日は好天に恵まれ、山頂からの眺望を楽しめたが、土曜日の本番は雨で登頂をあきらめた。

 八ケ岳連峰の最北端、信州の中央に位置する蓼科山。たおやかな姿と首都圏から日帰り可能な「百名山」とあって人気が高い。広い山頂部は累々とした岩で埋め尽くされ、360度の展望が開ける。

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 両日とも7時に長野市内を出発。佐久市望月の春日温泉から登山口の大河原峠を目指した。だが、林道に迷い込んだり、車幅が狭かったりしたため遠回りし、女神湖を経由して大河原峠へ。

 下見の日は新しい祝日とあって、70台ほど止められる駐車場は満杯。あふれた車の列が路上に続いていた。

 到着までのロスタイムが大きかったので、10時半に登り始める。北斜面のためか、密生するコメツガやシラビソの樹林は皆、幹が細い。石ゴロ道の急登が終わると、道はなだらかになり、前掛山手前の「佐久市最高地点(2380メートル)」の標識がある場所に着く。

 その先では、樹林が一斉に立ち枯れ、帯状に続く倒木の姿が痛々しい。北八ケ岳に多い縞(しま)枯れ現象だ。

 程なく広場になっている将軍平に到着。その昔、征夷大将軍の坂上田村麻呂が東征の際に休んだのが名の由来という。ここは登山道の十字路になっていて、蓼科山荘がある。

 一休みした後、急な上りに入る。樹林帯を抜け、大きな岩が折り重なる急斜面を、両手を使い、はうようにして登る。頭上からは太陽が照りつけ、顔から汗がしたたり落ちる。

 登り詰め左に回り込むと、蓼科山頂ヒュッテの脇に出る。そこから上は、直径150メートルほどの円形の山頂部で岩だらけだ。中央部がくぼみ、火山だったことが分かる。

 山頂の南側で、眼前の八ケ岳や南アルプスを見ながら昼食を取る。その後、西側の展望台に回って白樺湖や霧ケ峰を見下ろし、中央部の蓼科神社奥社に参拝し、山頂部を後にした。

 上りも大変だが、下りはもっと大変。四つんばいで登った岩道を、慎重に足場を選びながら前向きに降りる。雨の時は岩が滑って滑落の危険が大きい。

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 そのため、雨の中、同じコースを将軍平まで登ってきた本番では、登頂を断念。蓼科山荘の中で昼食を取り、七合目登山口コースを一の鳥居に向けて下る=写真。この道もかなりの急斜面で、小石に足を取られやすい。

 途中、東京と名古屋からのいずれも50人近いツアー登山の一行と擦れ違った。雨の中を山頂まで登ると言っていたが、大丈夫だったろうか。翌日の新聞に蓼科山での遭難記事はなかったが...。
(2016年9月10日号掲載)

=写真=岩が広がる山頂部
 
中高年の山ある記