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088 プラハを巡る ~カレル橋~川に投げ落とされた司教 

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 チェコの首都プラハを巡る2番目のコアは、カレル橋周辺である。ドイツ語でモルダウの川、地元ではブルタバ川の最も有名な橋だ。長さ520㍍、幅10㍍。12世紀に初めて架橋された時は木造だった。川の氾濫で流された後、ヨーロッパで2つ目の石橋が完成。しかし、これも洪水に負けた。

 現在の姿になったのが1357年のことだ。フランスから来た国王で、両国の立場から、カレル1世ともカレル4世とも呼ばれる王の命による。ともかく、この王はチェコに繁栄をもたらせた。神聖ローマ帝国の皇帝となった彼の名が、橋の名の由来である。

 幅広のこの橋は、さまざまな事件も目にしてきた。ある時は処刑場に、また、ある時には王のパレードの通りに。特筆すべきは、ヤン・ネポムツキー投げ落としだ。

 この橋には30体もの石像が欄干に飾られている。もともと、処刑されて投げ捨てられた死者を慰霊するために建てられた。一角には、日本でもなじみのフランシスコ・ザビエルの像もある。彼は布教で日本滞在の後、中国で他界した。それもあって、彼を担ぐ人の台座のモデルが中国人と思われる。

 ネポムツキーは司教で、カレル大学の学長を務めたほどの人物。ある時、王妃が彼の元に告解(神に対する罪の告白)に来た。これを聞きつけた当時の王は、妻・王妃の不義を疑った。王はネポムツキーに告解の内容を問いただした。

 頑として口を割らない司教に、王は怒り心頭。袋詰めにされ、橋からブルタバ川に投げ落とされた。絶命した時には5つの星が川に輝いたという伝説が残る。だから、国内津々浦々に設置された彼の像には、5つ星が載った光臨が添えられている。

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 カレル橋の台座に残されている2つのレリーフは、触ると幸せになるといういわれから、ぴかぴか。この像がいつもにぎわっているのもそのせいだ。

 ゼレナー・ホラという地方都市がある。ネポムツキーの名を冠した巡礼聖堂には、彼を象徴する舌のモチーフが天井や入り口の踏み石や窓などに飾られている。これは、18世紀にプラハ城の聖ヴィート大聖堂の墓を開くと、白骨化した遺体の中に、原型のままだった舌があったというエピソードによる。
(2016年11月12日号掲載)

=写真=カレル橋にあるネポムツキー像
 
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