100 インフルエンザ ~急速に広がる「新型」 手洗いなどしっかり~

 毎年冬から早春にかけて流行するインフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。インフルエンザウイルスには、多くの種類があります。

 まず、ウイルスに含まれるタンパク質の性質によってA型、B型、C型に分かれます。

 A型はさらに、ウイルス粒子の表面にあるHA(ヘマグルチニン、16種類)とNA(ノイラミニダーゼ、9種類)という突起の組み合わせ(亜型)によって分類されます。例えば、2009年春に発生した「新型インフルエンザ」の亜型はH1N1、近年警戒されている鳥インフルエンザの亜型はH5N1です。

 新型インフルとは
 新型インフルエンザは、毎年流行する「季節性インフルエンザ」と何が違うのでしょうか。

 季節性インフルエンザは、過去のインフルエンザウイルスに似たウイルス(マイナーチェンジしたウイルス)の流行をいいます。多くの人はすでに似たウイルスに感染したことがあったり、ワクチン接種を受けていたりするため、ウイルスに対する抵抗力(免疫)を持つ人が多く、流行の範囲は限られます。

 これに対し、新型インフルエンザは、突然出現した新しいインフルエンザウイルス(フルモデルチェンジしたウイルス)の流行をいいます。誰も免疫を持っていないため、急速に広まる恐れがあります。

 かつて大流行した1918年のスペインかぜ(H1N1)、57年のアジアかぜ(H2N2)、68年の香港かぜ(H3N2)も、新型インフルエンザとして発生しました。その後流行が広がり、多くの人が免疫を持つようになるにつれ、このような新型インフルエンザも季節的な流行を繰り返すようになってきました。2009年の新型インフルエンザも、11年からは季節性インフルエンザとして取り扱われることになりました。
100-iryo-1105.jpg

症状あればマスク
 インフルエンザの感染経路は、せきやくしゃみと共に放出されたウイルスを吸い込むことによって起こる場合、ウイルスが付着した物(ドアノブなど)に触れた後に目、鼻、口などに触れることで、粘膜や結膜を通じて感染する場合があります。

 したがって、インフルエンザを予防するためには、手洗い、うがいをしっかりすることが大切です。また、せき、くしゃみなどの症状がある場合には、ウイルスの飛散を防ぐためにマスクを着用するようにしましょう。
(2016年11月5日号掲載)

=写真=中島  英恵(診療技術部 臨床検査科主任 臨床検査技師)
 
知っておきたい医療の知識