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30 宮内庁 ~外事総括の式部副長 賓客の接遇や随行に

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 ホンジュラスから帰国後、2004(平成16)年7月に宮内庁式部副長に任命されました。以前務めた東宮侍従は皇太子さまのおそばに仕える「奥」という立場でしたが、今度は「表」といわれる仕事です。

 宮内庁の施設を少し紹介します。庁舎の地下に職員が昼食をとる食堂があり、自動販売機で御料牧場の牛乳が買えます。売店や書店、理髪店、郵便局、図書館、テニスコート、卓球場、宮内庁病院、皇宮警察本部、剣道などの道場もあります。皇居はパワースポットともいわれています。

 宮内庁の組織は、宮内庁長官の下、皇室の儀式と外国交際を担当する式部職のほか、侍従職、東宮職、書陵部、管理部、長官官房などからなっています。

国王や女王の来日で
 式部副長は2人いて、1人は儀式、もう1人は外国交際に関わる外事をそれぞれ総括します。私は外事を総括する式部副長でした。

 儀式を総括する式部副長は前侍従の百武伸茂さん。私の下には、2人の式部官のほか、事務官が大勢。宮内庁の正面2階が事務室で、隣に宮内記者会の部屋があり、記者がよく訪ねてきました。

 天皇陛下の仕事には、憲法で規定された国事行為のほか、象徴としての公的行為などがありますが、かなりの部分が式部職に関わり、外国交際だけでも全体の4分の1を占めるといわれています。外国賓客の接遇、外国ご訪問、外交団の接遇、外国元首に関連する冠婚葬祭や誕生日の文書交換など。これらは式部職外事の業務です。

 私の2年8カ月の在任中に、国賓としてデンマーク女王と王配(おうはい)(夫)、マレーシア国王と同妃、モロッコ国王、スウェーデン国王と同妃が来日し、私は接伴員を務めました。歓迎式典では日本側要人を賓客に紹介、宮中晩さん会では賓客側要人を日本の皇族に紹介する役割を受け持ちました。

 デンマーク女王が群馬県へ、スウェーデン国王が埼玉県へ日帰り旅行された時に随行したほか、多くの外国賓客を宿泊先から宮殿まで御料車に陪乗して送迎しました。

 ヨルダンの国王は3度送迎しました。2度目の時「こんにちは、竹元さん」とあいさつされ驚きました。また、ボリビア大統領から皇居内の玉砂利の道がなぜ舗装していないのかと質問され、ある賓客からは、地震の時に皇居の石垣は崩れないのかと聞かれました。

外交団の接待も
 このほか、世界の多くの賓客と話す機会があり、チェイニー米副大統領やホンジュラスのマドゥーロ大統領とも再会しました。

 私の在任中、天皇、皇后両陛下は05年5月にノルウェー、アイルランド、同年6月にサイパン、06年6月にシンガポール、タイ、マレーシアを訪問されました。私は羽田空港送迎の際、皇族方のお世話をしました。

 外国の大使が着任した時、最初の儀式として信任状奉呈式があります。着任と離任の時にお茶会を催す際、私は大使を皇居で迎えました。その中に今の中国外相である王毅大使もいました。大使夫妻を招待した昼食会にも何度も陪席しました。

 外交団の接待も大事な仕事の一つです。春の園遊会、夏の長良川の鵜(う)飼い、冬の鴨(かも)猟、御料牧場での乗馬と古式馬術の披露など、外交団が一日楽しめるようお世話しました。
(聞き書き・船崎邦洋)
(2017年1月1日号掲載)

=写真=栃木の御料牧場で外交団を接待(中央が私)
 
竹元正美さん