
絶好の行楽日和だった11月最後の土曜日、カルチャースクール「里山講座」の今年の締めくくりとして、南佐久郡南牧村の飯盛山(めしもりやま)(1643メートル)に登った。
前々日に降った初雪が残り、想定外の冬山登山となった。だが、空気は澄み、眼前の八ケ岳から南アルプス、富士山、浅間山など三百六十度の眺望を楽しんだ。
7時に長野市を中型バスで出発。上信越道から中部横断道の佐久南インターで降り、国道141号を南下する。佐久平には雪が目立ち、標高の高い野辺山高原は一面の銀世界だ。

山梨県側の清里コースから登り始める。カラマツと雑木の林の中を、くるぶしまである雪を踏んで歩く。
あずまやのある鞍部で休憩し、尾根上に出ると、三角錐(さんかくすい)の山頂部が見えてきた。その名のとおり、茶わんにご飯を山盛りにしたような山容だ。
山頂直下の小広場まで登り詰めると、一気に展望が開ける。ひとしきり周囲の眺望を楽しんだ後、10分足らずの上りで11時前に頂上へ。
山頂からは、西側に八ケ岳を一望。雪をかぶり、険しくそびえたつ山並みが、山梨側にゆったりと長い裾野を引いている。南側には真っ白な北岳と、いかつい甲斐駒ケ岳などの南アルプスが。目を凝らすと、遠く右手に中央アルプスや御嶽山の白い姿も。
東には、富士山が大きくそびえる。白雲が裾にたなびき、神々しいばかりの美しさだ。北東には金峰山(きんぽうざん)や瑞牆山(みずがきやま)、北には浅間山から妙高山まで見通せる。
大満足の眺望だが、吹き付ける風は冷たい。長居はできないため、10分ほどで下山し、小広場で昼食に。
帰路は野辺山コースで平沢峠へ下る。途中、平沢山(1653メートル)に登ると、先ほど下った飯盛山と、その後方に富士山が見える=写真下。北側を見下ろすと、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の巨大電波望遠鏡が見える。

下山した平沢峠は、八ケ岳と南アルプスが間近に迫る。明治初年にこの地に立ったドイツ人のエドムント・ナウマン博士が日本列島の大地溝帯を発想し、後年「フォッサマグナ」と名付けたことを現地の碑文で知った。
12時半に下山し、帰途、野辺山宇宙電波観測所に立ち寄る。立ち並ぶパラボラアンテナや、直径45メートルもの電波望遠鏡を見学した。
翌日、観測所近くの畑に遺体が埋められていた事件を知り驚いた。
(横前公行)
=写真=山頂から望む八ケ岳連峰