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33 移住100周年 ~久子さま訪問を願う 記念式典臨席が実現~

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 2008(平成20)年は日本人ブラジル移住100周年に当たり、皇太子さまのブラジル訪問をはじめ、多くのイベントが企画されていました。ウルグアイも日本人移住100周年の年でしたが、何の計画もありませんでした。

 日本からの移住者は隣国から再移住した人もおり、多くは花卉(かき)栽培に従事しました。特に園芸家の庄野貞雄さんは花の研究、栽培を指導して、ウルグアイに骨をうずめました。その生涯をつづった「花のマエストロ」という本の中に、「モンテビデオは、人間の住む所として神様がつくったのではないか」というくだりがあります。

涙を流す参列者も
 ウルグアイに在任中、隣国のアルゼンチンに出張した時のことです。高円宮妃久子さまが08年の秋に同国で開かれる「バードライフ・インターナショナル世界大会」に出席される予定であるとの話を聞きました。この組織は野鳥保護の国際団体で、久子さまは名誉総裁を務めています。そこで私は、その折に久子さまがウルグアイに立ち寄り、100周年記念式典に臨席していただくようお願いしました。

 久子さまは快諾され、08年9月に2泊3日のウルグアイ訪問が実現しました。日本からパリ経由でウルグアイに到着されましたが、お疲れの様子は少しも感じられませんでした。

 記念式典は9月18日に日本人会主催で開かれました。久子さまは400人近い参列者を前に、日本語とスペイン語で「皆さまが育種改良なさった新たな花はウルグアイを華やかに装飾しております」と、おことばを述べられました。日本人移住者にとってまさに歴史的な瞬間で、涙を流す人もいましたね。全米日系人協会の代表も各国から参加しました。

 バスケス大統領への表敬訪問、モンテビデオ市長の昼食会、美術館、ソリス劇場、鳥協会、日本人会、ワイナリー。さらに大使公邸での夕食会、公邸の庭と日本庭園での植樹―と、久子さまは大変エネルギッシュに日程をこなされました。

 ウルグアイはサッカーの古豪です。1920年ごろは世界で最も強く、30年にモンテビデオで開かれた第1回ワールドカップでも優勝しました。日本サッカー協会名誉総裁でもある久子さまは、第1回大会の舞台となったスタジアムや隣接する博物館も視察されました。

記念曲「心は一つ」
 フェルナンデス外相主催の夕食会は、郊外の小農園でタンゴのショーが夜遅くまで行われましたが、久子さまは翌日早朝から公園にバードウオッチングに行かれました。大使公邸の庭で撮られたナンベイタゲリという鳥の写真は、後に銀座での久子さまの写真展に展示されました。

 移住100周年を記念して、「Manos」(心は一つ)という曲の作詞・作曲を同国の作曲家サンチャゴ・グティエレスさんに依頼し、私はスペイン語を日本語に訳しました。記念式典の際に青少年オーケストラの演奏で、ウルグアイで活躍するソプラノ歌手の千田栄子さん、バリトン歌手のフェデリコ・サンギネッティさん夫妻に日本語とスペイン語で歌ってもらいました。

 ウルグアイ側は久子さまを公式の賓客として最大限に接遇し、両国の友好親善に大変有意義なご訪問になりました。
(聞き書き・船崎邦洋)
(2017年1月28日号掲載)

=写真=バスケス大統領(中央)を訪問した高円宮妃久子さま(右は私)
 
竹元正美さん