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34 日系人の活躍 ~移住で花卉もたらす 幅広い活動を重ねる~

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 ウルグアイには人間教育を重んじるすばらしいシステムがあります。それは、貧困層の青少年に楽器を与え、音楽を通じて非行や犯罪の防止、協調性を学ばせる青少年オーケストラ・システムです。

 オーケストラの名前は「ホセ・アルテガス」といい、演奏会や外国公演など、活躍していました。楽器が必要なため、それなりの費用がかかり、寄付によって成り立っていました。私は大変良いシステムだと思い、日本から楽器など百数十点を寄贈しました。

 練習風景を見たことがありますが、子どもたちの演奏を親たちが誇らしげに眺めていました。親からすれば、自分の子どもがバイオリンを演奏するとは考えもつかなかったに違いありません。

IT教育の先駆け
 オーケストラは憲法記念日などに大統領主催で演奏し、日本のイベント、例えば天皇誕生日レセプションや日本人移住100周年記念式典の時にも演奏してくれました。メンバーから選抜されたグループは「アティピカ」というタンゴ楽団を結成していました。

 もう一つ、教育に関してぜひ紹介しておきたいことがあります。バスケス大統領の下、パソコンを全ての小学校生徒に1人1台を提供するサイバー計画です。この計画は私の在任中に実現しました。

 生徒はパソコンを家に持ち帰ることができ、田舎の貧しい家庭でもインターネットにつないで使用できます。世界に先駆けたIT教育だと思います。

 日系人の活躍について、少しお話しします。移住が始まった頃は移住者の多くは花卉(かき)栽培に従事し、バラやカーネーションや菊をウルグアイにもたらしました。しかし、その後、デング熱対策のため、墓に花を供えることが禁止され、さらに外国からの輸入に押されて花卉栽培は縮小しました。今は、花卉栽培のほかビニール製造工場など幅広い職業に就き、日本人会館をつくり、日本語教育などの活動を行っています。

 ウルグアイで暮らす千田栄子さんは、オペラ「蝶々夫人」の主役を100回以上演じるなど活躍しており、大使表彰を行いました。三上隆仁さんは40年ほど前から同国に永住。林業の発展などに人生の後半生をささげました。

両国友好協会が発足
 さまざまな文化・学術交流を行いました。国際的フルート奏者の大和田葉子さんはモンテビデオ交響楽団との2回の共演のほか、イグアスの滝のホテルで演奏しました。音楽家のウーゴ・ファトルッソさんは、私のお別れパーティーでも演奏してくれました。ウーゴさんは毎年、日本ツアーを行っています。

 在任中にウルグアイ日本友好協会が法人組織として発足しました。副大統領も創設メンバーになりました。また元日本留学・研修生の会は活発に活動しており、日本との関係強化に貢献しています。

 日本大使館として、日系人にできる限りの便宜を図るよう努力しました。地方に住む日系人のために、領事が出張して事務に当たりました。

 ウルグアイ大使の在任期間は2年9カ月でした。2010年1月、私が帰国する際にはたくさんの方々が集まり、送別会を開いてくれました。この国は人間が住む所として大変良い国だと思います。
(聞き書き・船崎邦洋)
(2017年2月4日号掲載)

=写真=帰国時に開いてもらった日本人会送別会の写真
 
竹元正美さん